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社説

大震災7年 郷土芸能 心の復興には欠かせない

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 太鼓や笛の音に合わせて輪になって踊り、豊作を祈る。福島県浪江町津島地区に200年以上前から伝わる郷土芸能「田植踊(たうえおどり)」だ。

     この地区は福島第1原発事故で避難指示が続いている。福島県内のNPO法人が後世に映像を残そうと、今年1月に収録を行った。

     東日本大震災で被災地の祭りや芸能が消滅の危機にさらされている。復興は住宅や道路の整備だけでは成し遂げられない。郷土芸能など無形の文化財は地域の絆を取り戻す大きな力になる。

     岩手、宮城、福島の3県には2000件以上の郷土芸能があるといわれる。このうち800件近くで伝承者が失われたり、神社や用具が被害を受けたりした。だが復活には多額の費用が必要で、あきらめる集落も多かった。

     支援の動きは早かった。公益社団法人「企業メセナ協議会」(東京)は震災直後に「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」を設立し、企業や個人から支援金を募って助成する活動を始めた。

     ほかの財団や大学も映像を撮影して保存したり、後継者の育成に力を入れたりする支援に乗り出し、一定の成果を上げている。

     郷土芸能は震災で大切な人を失った遺族の気持ちを慰め、生きていく力にもつながる。震災を経験し、改めてその価値に気づいた住民も多いようだ。

     復活が容易ではないのは、津波と原発事故に見舞われた福島県沿岸部の郷土芸能だ。震災前には約350件あったが、震災で約210件が中断した。このうち約70件が、一度復活したものの、この先も継続できるかどうかは分からない。

     支援するNPOによると、原発事故の被災者が各地に避難して離ればなれになり、さらに避難先で家を建てたりして、かつての集落単位で集まることが年々難しくなっている。

     それでも郷土芸能の復活を願う人は多い。NPO幹部は、津波で家を流された高齢の女性から「神楽だけはなくさないでほしい」と懇願されたことが忘れられないという。

     郷土芸能のすばらしさを広く知ってもらい、全国から人を集めるような仕組みをつくれないか。復興には息の長い支援が必要だ。

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