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100年カンパニーの知恵

膨大な同業者が退場していった中で、彼らが日々を重ねられた理由は何か。幸運や巡り合わせというだけでは見過ごしてしまう細部があるに違いない。その知恵を広く共有すべく、じっくり語っていただいた。

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100年カンパニーの知恵

開明(埼玉県)/下 日本の伝統文化守る

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 <since 1898>

すらずに使える高品質な墨汁追い求め1世紀

 1971年、書道は教育現場に復活した。田口明・2代目社長は墨汁の商品の種類を増やしていった。かつては原料として使われている膠(にかわ)や塩化カルシウムの精製度が低く、書家ら専門家から「筆が傷む、文字が光る」などといわれて固形墨と差別されたこともあったが、田口はさまざまな角度から改良を続け、品質の向上に力を注いだ。

 商号を「開明」に変更した88年、最高級の墨汁「花仙」を発売した。一般に墨の粒子は細かい方が良いとされているが、固形墨を硯(すずり)ですった時の粒子の大きさは約0・2~0・6マイクロメートル。これに対して墨汁の粒子は0・05~0・25マイクロメートルと極めて小さい。「花仙」では微粒子と手ずりに似た粗い粒子を絶妙なバランスで配合し、古墨の味わいを持つ墨色とにじみが実現された。今では多くの書家が作品制…

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