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再思三省

第60回 「はなむけ」花は無関係

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「再思三省(さいしさんせい)」とは何度も考え、何度も自らを省みること。実際に紙面に登場した事例などをひきながら、月1回、三つずつのテーマで気をつけたい事柄をつづっています。なお、この中には必ずしも一般的に間違いとはいえないものもあります。読者への配慮や紙面上の統一などの点から決めているものは、理由とともに示しています。

相手に負けるわけではなく

 (強豪に)名前負け → 気後れ など

 球春。よく、強豪との対戦を前に「名前負けしないよう頑張る」などと意気込むのを耳にします。しかし名前負けを「相手の評判・名声に臆する意で使うのは誤り」(明鏡国語辞典)とされているので、気後れ▽臆する▽ひるむ▽名前に負ける▽名前に圧倒される--などの表現を使うよう工夫します。「子供に聖人の名を付けるなんて、名前負けをするよ」(同辞典の用例)のように、立派すぎる名に対して実物が見劣りすることを指す言葉です。

すぐそばに落とし穴

 仮装通過 → 仮想通貨

 「仮装/仮想」が正しいかにまず目が行きます。「仮ソウ売買」なら株の売り買いを同時に発注して活発な取引を装うことなので「仮装」、でも「仮ソウ通貨」は「仮想空間」「仮想現実」などと同じ「仮想」……とよく見たつもりが、そこにばかり気を取られて隣がお留守になることも。「通貨」の方も「国際通過基金」などの誤変換がよく現れる言葉です。これだけ見ると容易に気づけそうですが、注意が他へ向いた後は案外ばかにできないものです。

場違い、そしてハナ違い

 新入生に花向けの言葉 → 卒業生にはなむけの言葉

 意味も表記も勘違いされやすい「はなむけ」。別れに際して旅立つ人に贈るもので、入学式など迎える場面に使うのは不適当です。また、何となく花束が似合いそうに思えますが、旅立つ人の馬の鼻を目的地へ向けてやったことに由来し、花は関係ありません。「はなむけ」に当てる漢字として辞書にある「餞」「贐」は、常用漢字表にない字で難しく、かといって「鼻向けの言葉」と書いても誰の鼻か分かりにくいので、平仮名で書くことにしています。

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