SUNDAY LIBRARY

武田 砂鉄・評『上を向いてアルコール』小田嶋隆・著

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

かつての自分を嘆き自分の手で裁く

◆『上を向いてアルコール』小田嶋隆・著(ミシマ社/税別1500円)

 自分は酒を飲まないので、酒の力を借りて何かを達成しようと試みる人間に対し、冷たい目線を送り続けてきた。その目がこちらに向かい、説教が始まろうものなら、「私はあなたが不快」という目を必死に返すのだが、酒の力を借りた人間がまず何を捨てるかといえば、相手の気持ちを推し量ることである。

 300万人ともいわれるアル中予備軍に向けて、かつてのアル中患者が語る一冊は、酒飲みだった人が、酒飲みの主張を切り崩してくれるスタイルで助かる。酒量を、人生経験や人間の器などというスケールの大きなものとシンクロさせる悪癖は、いまだにそこかしこに転がる。著者は、酒を飲む人間が「止むに止まれぬ理由」を用意して物語を作る風土を、「あれウソ、だと思う」とポップに捨てる。

この記事は有料記事です。

残り544文字(全文915文字)

ご登録から1カ月間は100円

※料金は税別です

あわせて読みたい

注目の特集