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時代の波にもまれる日本企業や組織を描く「変革」第11部は、04年の球界再編問題から大きく変化してきたプロ野球のパ・リーグに迫る。

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第6部 伊藤忠商事/7 バブル崩壊、どん底に

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東京・三田にあった伊藤忠商事の社宅。現在は高級マンションが建っている
東京・三田にあった伊藤忠商事の社宅。現在は高級マンションが建っている

 東京・三田の慶応大学三田キャンパス近く。周囲にいくつもの大使館が建ち並ぶ都心の一等地に、伊藤忠商事社長の岡藤正広(68)が「人は同じ失敗を繰り返す」ことの戒めとして、ことあるごとに引き合いに出す因縁の土地がある。

 オーストラリア大使館の用地の一部を伊藤忠が購入したのはバブル期真っただ中の1988年。約6000平方メートルの土地に約600億円の費用を投じた。商業ビルを建設する予定だったが、購入費用があまりにも高すぎたうえ、バブル崩壊に伴う地価の下落で開発計画が頓挫。土地はそのまま塩漬けとなった。やむなく社宅を建てたが、巨額の損失を出し、バブル期の野放図な不動産投資を象徴する物語として社内で語り継がれている。

 戦後の高度経済成長期の波に乗り、総合商社としての成長を遂げた伊藤忠。しかし、70年代に入って石油ショックに見舞われるなど日本経済が停滞期に入ると、商社は「冬の時代」を迎える。商社のビジネスの本流はさまざまなモノの取引による「口銭(こうせん)」と呼ばれる手数料収入だったが、メーカーは独自の海外販売ルートや情報網を構築するようになるなど商社離れが進み、業績が低迷した。

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