特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。1月28日の選考委員会をライブ配信します。

特集一覧

燃えろ聖陵

初めての春 支える人たち/3 ともに汗、姿勢伝えたい 野球部コーチ・木田侑斗さん(24) /愛媛

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
「また甲子園の熱量を感じたい」とノックを打つ松山聖陵の木田侑斗コーチ=松山市久万ノ台の同校で、中川祐一撮影 拡大
「また甲子園の熱量を感じたい」とノックを打つ松山聖陵の木田侑斗コーチ=松山市久万ノ台の同校で、中川祐一撮影

 <第90回選抜高校野球>

木田侑斗(ゆきと)さん(24)

 「お願いします!」。選手たちの守備練習に交じり、軽快なステップで打球を処理するのは木田侑斗コーチ(24)。もちろんコーチとして指導する時間が大半だが、時に選手と一緒に練習する。「若い自分だからこそできること。練習に対する姿勢を学んでもらえたら」と背中でも教える。

 鳥取県出身。県内有数の進学校で、センバツ準優勝の経験もある米子東で甲子園を目指したが、夢はかなわなかった。筑波大で野球を続け、卒業後の2016年、大学OBの縁を通じて松山聖陵の国語と保健体育の講師になった。野球部のコーチも務め、その年の夏、愛媛大会で初優勝。自身もノッカーとして甲子園の土を踏んだ。「5万人近い観衆がいるので熱量がすごい。『また帰って来たい』と思わせる場所でした」。選手としてプレーできなくても、かつて憧れた聖地に心は躍った。

 コーチを始めて約2年。「技術以外の部分で彼らが持つ力には驚かされてばかり」とこれまでを振り返る。昨秋の四国大会準決勝の明徳義塾(高知)戦で大城優太選手(2年)が見せたプレーもその一つだ。

 二回1死満塁から1点を先制され、なおも満塁。続く打者の打球は左翼を守っていた大城選手のもとへ。これをダイビングキャッチし、さらに正確な送球で併殺に仕留め、ビッグイニングにもなりかねない悪い流れを断ち切った。試合前、風の流れや太陽の向きを見て「左翼への打球を練習しておきたい」と志願したのが大城選手。その時、左翼で念入りに受けたノックの感覚が生きていた。

 どんな場面でも真面目な大城選手。「多くの人は偶然と思うかもしれないが、僕からすればあのプレーは必然」。技術では語れない、普段の姿勢が生み出したビッグプレーだった。

 再び挑む夢舞台。今の2年生とは同じ時期に聖陵にやって来た「同級生」だ。「分からないことも全部一緒に乗り越えてきた。特別な思いはある」。だが、コーチは試合中にベンチに入ることはできない。スタンドから見守ることになるが、「いつも通りの雰囲気を作ってあげたい。気持ちはいつも彼らのそばにあります」。【中川祐一】

関連記事

あわせて読みたい