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余録

「人はみな違い、基準や普通の人間などというものはないが…

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 「人はみな違い、基準や普通の人間などというものはないが、人の魂はみな同じようにもっている」。車いすの天才物理学者S・ホーキング博士がロンドン・パラリンピック開会式に登場した時の言葉である▲最初は妙に動作がのろくなり、階段から落ちて医者に行くと「ビールを控えることだね」と言われた。その後、筋萎(きんい)縮(しゅく)性側索硬化(せいそくさくこうか)症(しょう)(ALS)と診断され、余命数年と思われた時にはなぜ自分が、と憤った。20代初めの学生時代だった▲運命は彼から全身の自由を奪ったが、半世紀以上にわたる人生と宇宙物理学の輝かしい業績を与えた。おかげで世界はその言葉を通し、この宇宙の成り立ちと人間存在をめぐる数多くの知的なひらめきや刺激を受け取ることができた▲「宇宙はなぜ存在するという面倒なことをするのか」。その専門分野でのブラックホールの理論などは分かりやすいものではない。だが一般向け著書「ホーキング、宇宙を語る」は全世界で1000万部を超えるベストセラーとなった▲学者仲間の理論的予想の賭けで、自分の予想に反する方に賭けた逸話(いつわ)も有名だ。予想で負けても賭けの勝ちが慰めだというが、ヒッグス粒子は見つからぬ方に賭けた。見つかると大喜びで賭け金を払ったのは予想的中だったのだろう▲「宇宙の始まりに神は不要だ」と神や天国に否定的な物言いも注目された。だがもしや今ごろ天国で神様に大喜びで賭け金を払っていないか--そんな空想も呼ぶちゃめっ気が思い出される天才の旅立ちだ。

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