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角田光代・評 『1ミリの後悔もない、はずがない』=一木けい・著

 (新潮社・1512円)

過去を引きずりながらも人は前に進む

 ここにおさめられた五編の短編小説は、時間も語り手も舞台となる場所も異なるが、それぞれつながっている。だから短編連作集というのがただしいけれど、でも私には、五編でひとつの長編小説のように感じられる。

 第一章、「西国(にしこく)疾走少女」は、語り手である由井の、中学時代の回想である。由井こと「わたし」は、西国分寺駅にほど近い狭い一軒家に、母と妹と暮らしている。別居している父親は無職で、それによって由井は特殊な事情を背負わされていることがだんだんわかる。自分では選べず、変えることもできないそんな日々のなか、由井は同級生に恋をする。恋だって、実質的には彼女を救わないけれど、それでも彼女はその恋に向かって疾走する。

 描かれるのは絶望と諦観に覆われた世界なのに、清潔な光に満ちている。閉塞(へいそく)的な世界を描きな…

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