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本村凌二・評 『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年』=ジョナサン・ハリス著

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 (白水社・4536円)

他者をなじませ統合する

 完璧なフォームでバットを振ったにしても、球から三十センチも離れていたら様にならないだろう。同じように、どんなに筋の通った議論であっても、問い掛けそのものが適切でなければ、応答の説明も味気ないものになってしまう。

 「ローマ帝国の衰亡」については、古代の同時代人からして喧々囂々(けんけんごうごう)と議論されている。ゲルマン民族の侵入、キリスト教の普及、インフラの劣化などが取り沙汰(ざた)されるなかで、五世紀後半、西ローマ帝国が解体した。だが、東ローマ帝国はビザンツ帝国となり、千年後にオスマン帝国によって滅ぼされた。その千年間についてはどんな問い掛けがふさわしいのだろうか。

 三三〇年、僻邑(へきゆう)ビュザンティオンは新しく建設されて開都し、後にコンスタンティノープルとよばれる首都となった。コンスタンティヌス帝は既にキリスト教を公認していたので、新都には教会も数多く建てられたが、元老院議事堂も競馬場も宮殿もあり、神々の神殿もあった。

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