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社説

強制不妊手術の全国調査 柔軟に幅広く実態把握を

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 あまりに遅きに失したとはいえ、旧優生保護法に基づく強制不妊手術の実態調査に国が乗り出す。その歴史的意義は認めたい。

     旧厚生省の記録では強制不妊手術をされた人は1万6475人に上るが、資料が残っている人は2割に過ぎない。医師や家族などの関係者が死亡している人も多いだろう。

     同法が廃止されてもう22年。記録がなくても、不妊手術された可能性のある人は幅広くリストアップし、救済の対象にすべきだ。

     障害者らに対する強制不妊手術はこれまでにも何度か人権侵害だとして問題化されたことがある。だが、国の責任の追及や手術をされた人の救済にまではつながらなかった。

     この問題が急展開したのは、今年1月に宮城県内の女性が初めて国を提訴したことや、毎日新聞の報道がきっかけだ。今月には救済に向けた議員立法を視野に超党派の議員連盟も設立された。

     ただ、民法の損害賠償請求権が20年で失われるなど、救済を阻む壁は高い。不妊手術を裏付ける資料がない人はどうするか、本人の同意の有無をどう確かめるかも難問だ。

     宮城県は提訴した女性について、手術痕が確認できる、手術を推測できる資料がある、本人の証言に整合性がある、ことなどから事実を認める方針という。

     被害者の多くは判断能力やコミュニケーション能力にハンディのある知的障害者だ。明確な証言ができない人は多いだろう。たとえ手術に同意があったとしても、どこまで不妊手術の意味を理解した上での同意かはわからない。9歳の女児まで手術をされていた記録がある。

     家族が医療機関に連れて行ったケースも多いと思われるが、障害者が身内にいることで地域や親戚から差別や偏見の目で見られていた家族も多かった。障害者が性被害にあい、やむなく堕胎手術や不妊手術をした人も決して少なくはない。

     二重にも三重にも理不尽な状況に置かれ、沈黙を強いられながら歴史にうずもれていたのである。

     全国調査では、記録の有無にこだわらず、本人の証言や周囲の状況なども含めて柔軟に行うべきだ。被害者の高齢化も考え、できるだけ迅速な調査が必要だ。

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