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引っ越し難民

問題が深刻化 人手不足、働き方改革が影響

「アップル」の引っ越し作業。繁忙期は希望日に引っ越すのは難しくなっている=同社提供

 新年度を前に、希望日に引っ越しできない「引っ越し難民」問題が深刻化している。人手不足や働き方改革で、引っ越し業者が受注を減らす傾向にあるためだ。料金も高額化しており、引っ越し時期の分散化を求める声が強まっている。【竹地広憲、今村茜】

識者「繁忙期の分散化を」

 川崎市宮前区の主婦、亀山順子さん(29)は先月、神奈川県内の実家に4月上旬に一家4人で引っ越すため、インターネットで複数の業者に見積もりを依頼した。目安は2年前、同じような条件で姉が引っ越した時の8万円。だが「多くの業者から日程の変更を求められ、約40万円を提示されるケースもあった」と驚く。結局、9万3000円を提示した最安業者と契約したが「高額の料金を受け入れざるを得ない人もいるはずだ」と話す。

 「見積もりで150万円を示された」「市内の単身の引っ越しで20万円を請求された」--。国民生活センターには今月に入り、引っ越し料金を巡る相談が相次いでいる。大手業者によると「従業員の転勤に合わせた法人契約を優先させるため、個人客と契約する余裕はない」状況だ。

 引っ越し中堅のアップル(東京都中央区)には、今も繁忙期の引っ越しを希望する客の問い合わせが絶えない。待遇改善が進む宅配業界に転職するため、約70人いた運転手の1割がこの1年で流出した。このため受注を抑えざるを得ず、「昨年断ったのは十数件だったが、今年は100件を超えた」(同社)という。

 人手不足が多くの業種で顕在化するなか、引っ越し業界は家具や家電などの重い荷物を運ぶ重労働のため敬遠されがちだ。業界大手のアートコーポレーション(大阪市)は昨年、「働き方改革」のため前年より受注を2割減らした。今年はやや増やしたが、一昨年には及ばない。業界全体でも需要に供給が追いつかない状況は続き、全日本トラック協会は繁忙期を避けるよう、利用者に呼びかけている。

 社員の引っ越し時期をずらした企業もある。全国で結婚式場を運営するエスクリ(東京都)は2016年から、社員が繁忙期の引っ越しを避けられるよう、異動の辞令は4月1日のまま、引っ越し時期を前後2週間程度ずらすことを認めた。ホテルに滞在する必要がある場合の費用は会社が負担するが、担当者は「引っ越し費用は半分ほどに抑えられた」と話す。

 流通経済大の矢野裕児教授(物流論)は「現在2週間程度の最繁忙期の引っ越しを、1カ月程度にならすだけで、状況は相当改善される。企業も個人も協力して分散化を目指すべきだ」と話す。

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