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第94回センバツ高校野球

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センバツ・瀬戸内 心に寄り添い絆育む 長崎出身の元球児、宮原コーチ(23) /広島

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選手と一緒にノックを受ける瀬戸内の宮原浩明コーチ(手前)=広島市東区山根町の練習グラウンドで、小山美砂撮影 拡大
選手と一緒にノックを受ける瀬戸内の宮原浩明コーチ(手前)=広島市東区山根町の練習グラウンドで、小山美砂撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

練習、衣食住共に 慕われる“先輩”

 選手と競って走り、ノックを受け、衣食住を共にする。センバツに出場する瀬戸内の宮原浩明(こうめい)コーチ(23)は長崎出身の元高校球児。広島の野球に魅力を感じ、教員として瀬戸内に昨春に赴任し、寮に住み込んで誰よりも長く選手と過ごしてきた。「先輩みたい」と慕われる新米コーチは、23日の甲子園の試合前練習でノックを打ち、スタンドから精いっぱい声援を送るつもりだ。【小山美砂】

 長崎県西海市大島町出身。本土につながる橋もなかった島で、幼少期は山や海を駆け回って育った。八つ上の兄の影響で、小学3年から野球を始めたが、中学の軟式野球部では、部員不足に悩まされた。「もっと思い切り野球がしたい」と島を出て、県内の強豪校、瓊浦(けいほ)高の戸をたたいた。同校の安野俊一監督(62)に「野球小僧の目をしとる」と見込まれたという。3歩以上は全力疾走、野球に必要のないものは寮に持ち込まない、など厳しいルールがあったが、野球できることが楽しくて仕方なかった。2年の時、指導者になろうと決意。自分を育ててくれた高校野球へ、恩返しがしたかったという。

 広島の高校への就職を目指したのは、「広島に高校野球の原点がある」と安野監督から聞かされていたからだ。安野監督はバントなど小技を絡めた緻密な野球で1973年夏に全国制覇を果たした広島商を「突出した選手がいなくても優勝する方法を打ち立てた」と絶賛していた。「将来母校で指導者になるためにも、九州以外の地で野球を学びたい」と瀬戸内に赴任した。

 練習は見守るだけでなく、自身も手本を示すために参加する。「言うだけでなく、やって見せて分かることもあるから」。1年生らに筋トレなど練習メニューを提案することもあり、きつい練習も楽しめるよう工夫を凝らす。寮では管理者として部屋が片付いているか抜き打ちでチェックするなど目を光らせる一方、選手と一緒に風呂に入って「今日の練習どうだった」とねぎらう。「愚痴や悩みを聞いてもらえる。時には一緒にふざけられて、先輩みたい」と信頼は厚い。

 「この1年でコーチとしてサポートできたのかは分からない」と率直に語るが、選手を一番近くで見守り、苦悩に耳を傾けてきた自負はある。大舞台に立つ教え子たちを信じる気持ちも人一倍だ。「いつも通りの彼らなら、きっと良い試合ができると思います」

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