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生活保護受給者やホームレスなど、社会で弱い立場にいる人への攻撃的な空気が広がってきたのはいつごろからだろう。格差社会のもと、経済成長を遮二無二追求する中で、「生産性が低い」ことなどを理由に、排除しようという心理が見え隠れする。【井田純】
昨年7月の刊行以来、じわじわ売れ続けている翻訳本がある。英国の若手コラムニスト、オーウェン・ジョーンズ氏(33)の「チャヴ 弱者を敵視する社会」だ。今年に入っても版を重ね、すでに5刷。出版した「海と月社」の松井義弘社長は「硬い内容で400ページ近いボリュームにもかかわらず、多くの人に読んでもらえている」と手応えを語る。
「チャヴ」とは貧困層に対する英国での蔑称で、「粗野」「怠惰」など否定的なイメージをまとった言葉という。同書は、サッチャー政権以後の英国の変化を分析、格差・不平等を正当化しようとする社会を告発する。
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