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ブタでヒトの臓器を作る 研究進む「異種移植」/生命倫理の課題抱え

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 動物の体内でヒトのための臓器を作り、移植する「異種移植」が注目されている。特にブタの移植研究は臓器提供者(ドナー)不足の解消につながると期待される。一方、動物の臓器をヒトに使うため生命倫理の議論もある。ブタによる異種移植の最前線を追った。【荒木涼子】

 ●無菌で育てる

 無菌のビニールケースの中を歩き回る1匹の子ブタ。一見普通のブタのようだが、約40種類のウイルス検査などをクリアした「無菌ブタ」だ。長嶋比呂志(ひろし)・明治大教授らの研究チームが、異種移植の研究のため出産直前の母親の子宮から取り出して育てた。人工乳を飲み、生後3週間で体長約30センチ、体重約1・8キロまで大きくなった。異種移植に使う動物の作製法などを示した厚生労働省指針(2016年改定)は無菌環境で動物を育てることなどを求めており、指針に基づいて作製された初めてのブタだという。

 ブタにはヒトに未知の病気をもたらすウイルスの危険性があるため、無菌ブタの作製は異種移植研究の第一歩となる。長嶋教授は「将来的にはヒトに移植しても拒絶反応が起きにくいブタの作製を目指す」と話す。来年初めには、民間企業と共同で臨床研究用ブタの供給を始める予定だ。

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