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布施広の地球議

昭恵氏招致は劣情?

参院予算委員会で、「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題についての質問を聞く安倍晋三首相=国会内で2018年3月19日、川田雅浩撮影

 日曜の夜。テレビから「劣情」という声が聞こえて眠気がさめた。はて何事だろう。

 最近のテレビは便利である。自動録画機能を使って巻き戻すと、その番組は共同通信の世論調査で安倍晋三首相の妻昭恵氏の国会招致が必要と答えた人が65%を超えたことを伝え、解説委員のコメントを求めていた。

 解説委員は言った。「総理夫人を国会に呼んできて公開裁判みたいにいじめて泣かしたいという劣情ですよ」。司会者が「野党の?」と聞くと彼は「国民の、ですよ。憂さを晴らしたい(という)」と答えた。

 耳を疑った。国民の劣情? 「熱情」の間違いかとも思ったが、それでは脈絡がおかしいしテレビの字幕も「劣情」になっている。

 昭恵氏の国会での説明を求める声は毎日や朝日の世論調査でも6割を超える。その解説委員は日ごろ安倍政権寄りの発言が目立つが、「国民の劣情」とはいくら何でも乱暴だ。

 彼は「自分の奥さんを証人喚問するって言われたら嫌でしょ」と同意を求め、野党の昭恵氏喚問要求については「面白いから(要求している)。面白いことばっかり言うんですよ」とも語った。

 だが、そんな低次元の話ではない。財務省近畿財務局の職員の自殺に触れるまでもなく森友問題の闇は深い。主権者であり納税者である国民が真実に迫りたいと思うのは当然だ。それを劣情と言う方がおかしい。

 とくとくとしゃべる解説委員を見て考えた。局長や海外特派員も務めたエリートらしいが、どんなふうに日本と世界の問題と向き合ってきたのだろう。

 そのテレビ局には、中東・アフリカで常に前線に身を置き、不幸にもチャーター機の事故で亡くなった記者もいた。世界の実相に迫りたい、視聴者に真実を伝えたいという思いが彼を前線に赴かせた。報道機関がそんな思いを失ったらおしまいではないのか。

 思うに森友問題の中心人物の一人は、当人が自覚しようとしまいと昭恵氏である。不当行為があったかなかったかは別として、問題の中心に彼女がいることは否定しようがない。「関係ない」と言うのは無理だ。

 なのに昭恵氏が一向に説明せず、フェイスブックなどで能天気とも映る言動を流しているのは、純真で悪気がなく森友問題とは無関係と印象付ける戦術かもしれないが、完全に裏目に出ている。一人の人間としてきちんと国民に説明するしかない。(専門編集委員)

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