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第90回記念となる選抜高校野球大会がきょう開幕する。節目の大会で、高校野球に新風を吹き込むような球児たちの活躍を期待したい。
センバツは長い歴史の中で、未曽有の災害に直面したり、存続の危機にひんしたことがあった。
第1回大会は、関東大震災から7カ月後の1924年に開かれた。被災地の東京、神奈川から出場した2校が元気なプレーを見せた。
終戦直後には、連合国軍総司令部から突然中止を通告された。関係者の熱意が実り、47年に戦後初めて甲子園での開催が実現し、敗戦に沈む国民の明るい話題となった。
阪神大震災や東日本大震災の直後の大会では、互いの絆を確かめ合い、被災者への励ましとなった。
センバツは同時に、さまざまな試みで高校野球を後押ししてきた。
戦前の27年から5年間、優勝校を米国に長期遠征させ、「野球界空前の壮挙」と話題になった。
困難克服や模範的なマナーなどを加味して選ばれる21世紀枠は、多くの球児に「自分たちにも甲子園は夢でない」と新たな希望を与えた。
今年は由利工(秋田)、膳所(ぜぜ)(滋賀)、伊万里(いまり)(佐賀)が出場する。多くの制約を乗り越えて出場する3校は、高校野球の魅力を改めて教えてくれるだろう。
今大会から甲子園では初めて、タイブレーク制が導入される。延長十二回で同点の場合、得点が入りやすくなるように走者を置いて攻撃を始める新たな試みとなる。
選手の健康対策は、高校野球の喫緊の課題だ。休養日の確保や拡大などの協議を継続し、健康に配慮する土台を確立する大会にしたい。
今年度の全国の野球部員は16万1500人を数え、サッカー人気に押された90年代の14万人台から回復した。1年生が3年になっても野球を続けている「継続率」も、20年前の7割台から9割に伸びた。
メジャーでの日本選手に注目が集まり、「野球を楽しもう」との指導が現場に広がってきた。高校野球には、まだ可能性が秘められている。
球児たちは25年ぶりに大会歌「今ありて」で入場行進する。歌に盛り込まれた「今を見つめ直し、未来の扉を開こう」との思いを胸に、はつらつとしたプレーを見せてほしい。