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余録

「桜のつぼみが顔を出し…

 「桜のつぼみが顔を出し、膨らみ、徐々に花開く、これは一般大衆の主要な関心事である。だから地元紙は、開花予想など桜の名所からの速報を毎日つたえる」(E・R・シッドモア著「日本・人力車旅情」)▲明治時代に来日した米国の女性旅行家シッドモアはこう記したが、桜の開花情報が大きなニュースになる日本の春に驚く外国人は今もいよう。花が咲くという当たり前の自然現象が報道の対象になるなど他ではありえないからである▲もっとも今や日本人以上に各地の開花情報をネットでこまめにチェックしている外国人観光客も多いだろう。見ごろはわずか数日間、その時、そこに居合わせることのできる幸せは写真や動画を通して広く世界の知るところとなった▲平年より9日早く開花した東京では、週末に都心で見ごろを迎えそうだという。全国トップで開花した高知市ではすでに19日に各地での観測史上最も早い満開が発表された。このペースに旅行プランをあわてて見直す観光客もいよう▲年々うなぎ登りの訪日外国人数だが、なかでも3、4月の訪日客の比率の伸びが目立つという。その一因とみられる花見への関心は、桜花の美に加えて花の下に集まって飲食する風習を伝えるネット画像によるところも大きいようだ▲江戸の昔から老若男女や身分の違いを超え、春らんまんを等しく分かち合った花見だった。この世界の人々を隔てるあらゆる垣根を取り払い、その心を今そこにともにいる喜びで満たす満開の桜の下である。

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