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第94回センバツ高校野球

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内気な心封印 瀬戸内の4番・門叶

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三回裏無死一塁で中前打を放つ門叶選手=阪神甲子園球場で2018年3月23日、久保玲撮影 拡大
三回裏無死一塁で中前打を放つ門叶選手=阪神甲子園球場で2018年3月23日、久保玲撮影

 身長183センチ、体重90キロの4番が、試合後に肩を震わせ泣いた。センバツが開幕した23日、瀬戸内(広島)の門叶(とがの)直己選手(3年)は、明秀日立(茨城)との初戦で最後の打者となってしまった。昨秋の中国大会で1試合4本塁打を放ったプロ注目のスラッガーは、地元ファンのため「夏に甲子園に帰ってきます」と誓った。

 ライト付近に上がったフライが二塁手のグラブに納まると、門叶選手は大きくうなだれた。3-4の1点差を追う九回2死三塁、同点のチャンスは封じられた。「チームに申し訳ない」。門叶選手は試合後、言葉少なに振り返った。

 小学生のころから体は大きかったが内気だった。「絶対行かん。監督の声が怖い」と、地元ソフトボールチームからの勧誘を断り続けた。母恵さん(44)は「幼稚園に通っていたころ、道ばたにしゃがんで『お花、きれいねえ』と言いながら眺めるのが好きな子だった」と話す。

 小学5年でソフトボールを始めたが、他の選手の大きな声や、相手投手の気迫あふれる表情にビクビクしていた。ところが1年後、チームの全国大会出場がかかった試合で勝負を決める本塁打を放った。「自分の一打でチームメートをこんなに喜ばせることができるんだ」。バッティングの面白さに目覚めた瞬間だった。

 瀬戸内では2年の春から4番。「今でも内角への速球や、表情一つ変えずに投げてくる投手が怖い」。それでも、試合に勝って喜ぶ仲間の姿を見たい一心で打席に立ってきた。

 この日は単打1本にとどまり、門叶選手は「最後の打席は欲が出て高めの球に手を出してしまった」と悔やむ。だが、甲子園という舞台に立てたおかげで自信にもなった。球場を後にする際は「自分たちのレベルがどこにあるか分かった。夏に向けて練習していきたい」と表情を引き締めた。【小山美砂】

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