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第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

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第90回選抜高校野球

膳所らしさ最後まで データ駆使、三回まで無失点 /滋賀

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試合後、ベンチ前に整列する膳所の選手たち=阪神甲子園球場で、猪飼健史撮影 拡大
試合後、ベンチ前に整列する膳所の選手たち=阪神甲子園球場で、猪飼健史撮影

 <センバツ2018>

 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第90回記念センバツ第2日の24日、21世紀枠で出場した膳所は初出場の日本航空石川(石川)との初戦に臨んだ。初回から満塁の好機を作るなどして球場を沸かせ、データを駆使した大胆な守備位置も見事に的中して三回まで強打の相手を無失点に抑えた。中盤以降は速い打球で安打を重ねられ0-10で敗れたが、持ち味は十分に発揮した。学校創立と野球部創部120周年の年、59年ぶりのセンバツで甲子園初勝利は果たせなかったが、スタンドからは「かっこよかった」と大きな拍手が送られた。【森野俊、木原真希、池田美欧】

膳所

  000000000=0

  00020215×=10

日本航空石川

 35台のバスで駆け付けた生徒や教員、保護者やOBら計約3500人が三塁側アルプス席を埋め尽くした。ユニホームと同じ白と紫のジャンパーを着た応援団は序盤から盛り上がる。初回、有川耀翔選手(3年)と川村いつき選手(3年)の中前打で2死一、三塁とすると、続く今井竜大選手(3年)が四球を選び満塁に。後続は飛球に倒れたが、「ナイスバッティング」「膳所は強いぞ」とメガホンを打ち鳴らす音はなかなかやまなかった。

 守備ではデータ班が分析した相手打者の特徴に合わせ、定位置から大胆に動かす作戦が的中。北信越王者で打率3割7分9厘の強力打線を三回まで1安打に封じる。保護者会長で今井選手の父俊広さん(49)は「選手たちがこんなに大舞台に強いとは」と興奮した。

 四回、手塚皓己投手(3年)が相手打線に捉えられ、3連打で2点を失う。逆に攻撃の時間は回を重ねるごとに短くなり、アルプス席にも不安な表情が増えていった。

 そんな空気をかき消したのは、ロボットアニメ「マジンガーZ」の曲に合わせて腕を大きく動かす「Zポーズ」と「膳所高!」のコール。ポーズを考えた応援リーダーの団長、山藤慎也さん(3年)は「Zの力をもっともっと選手たちに届ける。ここからです」と声援を送った。

 終盤は被安打や失策で失点を重ねる一方、相手投手の速球を打ちあぐねて苦戦。それでも最終回の攻撃で代打2人が選球眼良く四球を選ぶなど「膳所らしさ」は随所で光った。最後まで声を張り上げた応援リーダーの植田千裕さん(2年)は「選手も応援する側もみんな最後まで頑張ってくれはった。ありがとう」と涙を拭った。

Z、スタンド埋める

膳所の三塁側アルプススタンドに現れた大きな「Z」の文字=阪神甲子園球場で、池田美欧撮影 拡大
膳所の三塁側アルプススタンドに現れた大きな「Z」の文字=阪神甲子園球場で、池田美欧撮影

 ○…白いジャンパーで埋め尽くされた膳所の三塁側アルプススタンドには、スクールカラーである紫色の「Z」の人文字が浮かび上がった。ジャンパーはスタンドを盛り上げようと学校側が生徒や保護者らに配布。応援リーダーの山藤慎也さん(3年)は「野球部の伝統の『Z』で球場全体を巻き込める応援をしたい」。鈴木想生(そうぶ)さん(2年)は「多くの人が応援に来てくれた。選手たちがZを見て力にしてくれれば」と力を込めた。

21の応援歌で後押し

演奏で球児たちを後押しする膳所の吹奏楽部員ら=阪神甲子園球場で、木原真希撮影 拡大
演奏で球児たちを後押しする膳所の吹奏楽部員ら=阪神甲子園球場で、木原真希撮影

○…21世紀枠での出場にちなみ、吹奏学部員らは21曲の応援歌で選手らを後押しした。これまでは部員がリクエストした約10曲を演奏していたが、センバツ出場にあたって滋賀県らしさを出そうと「琵琶湖就航の歌」や、2018年に学校創立120周年を迎え作曲した「120周年記念歌」などを加え21曲にした。平山真大(まさひろ)部長(3年)は「練習は大変だったが、59年ぶりの出場に演奏にも熱が入る。全力で頑張って」とエールを送った。

分析ズバリ、大胆な守備光る 渡辺大夢遊撃手(3年)

 一回2死二塁のピンチ、相手打席にはキーマンの上田優弥選手(3年)。「攻撃で試合のリズムを作られないよう絶対に止める」。データで分析していた打球傾向から、定位置より左、二塁ベースのすぐ右に動いた。「カーン」と飛んだ鋭いゴロは投手の右足近くを転がる。普通なら中前打コースだが、狙い通り「よっしゃ。正面」とアウトにした。

 身長161センチ、体重60キロとチーム一の小柄で開会式の行進は最後尾だった。「パワーはないし、大きい人をうらやむこともある」が、ストライクゾーンの狭さや、守備位置を変えても目立たない利点がある。「何でもとりあえずやってみるところ」が最大の強みだ。

 今年度から募集を始めたデータ班。部内でも「そんなに変わるのかな」と疑問の声が聞かれたが、自らは分析結果を楽しみにしてきた。甲子園でも組み合わせが決まってから毎日、相手の打球傾向を見つめて守備位置を仲間に提案。この日も終始、大胆な守りを通して被安打数を減らした。試合後、相手監督は「精度は想像以上だった」と語った。

 「データを信じてやってきて良かった」が、0-10の結果は当然悔しさの方が大きい。「もっと実力をつけないと。夏に戻ってきて今度こそ1勝する」と次を見据えた。【森野俊】

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