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「ここなら……」と思った。明治大(東京都千代田区)駿河台キャンパスから歩いて5分ほどの喫茶店「カフェ・デ・プリマベーラ」。探し物を求めて入った3軒目の店である。ドアを押すとしっくいで固めたドーム状の天井に手斧(ちょうな)削りの真っ黒な梁(はり)。オレンジ色っぽい照明の下で、その名を口にした。--「オールドビーンズのコーヒーを」
はがきを手にするまで、私は「オールドビーンズ」を知らなかった。「学生の頃、渋谷の喫茶店で『この豆が分かるか』といれてもらったコーヒー。飲むと深い香りと丸みのある味。それが初めて飲んだオールドビーンズ(グアテマラ)だった。一昨年と今年、その店を探し歩いたが見つからなかった。あの香りと味に、もう一度会いたい」と千葉市緑区の私立高教諭、田村格さん(60)。ブラジル、モカ、マンデリンなど産地名を冠したコ…
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