メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

鴻巣友季子・評 『雪の階』=奥泉光・著

 (中央公論新社・2592円)

風を孕み滑走する不揃いな結晶たち

 奥泉光の創作技法には毎作大きな驚きがあるが、『雪の階(きざはし)』の壮大な試みには度肝を抜かれた。作者はこの傑作において、最高度に洗練された小説文体のあり方を提示した。

 物語としては、二・二六事件前夜のオルタナティヴ・ファクト(あり得たかもしれない真相)が浮き彫りになる。男女の死の謎を解くミステリであり、二大戦間の政情を背景にした政治サスペンスであり、日本、ドイツ、ソ連をめぐるエスピオナージ(諜報(ちょうほう)もの)であり、史実をモデルにした歴史小説でもあり、そのうえ、胸キュンの恋愛小説でもある。

 而(しか)してその真の姿は? これらの小説スタイルの批評的擬態、はたまた、日本にもギリシャにもエジ…

この記事は有料記事です。

残り1195文字(全文1528文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. フィリピン、電子たばこ禁止へ ドゥテルテ大統領、公共の場での使用者逮捕命じる

  2. 干され、食べられ… アジになりきる新施設、沼津に登場

  3. 安倍首相は“テフロン加工” 桜を見る会、海外の反応は「えこひいき」

  4. 聖火ランナー、くまモンはダメ 熊本県打診に組織委「人でない」

  5. 松尾貴史のちょっと違和感 中村哲医師の悲報 安倍政権の冷ややかな反応

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです