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鴻巣友季子・評 『雪の階』=奥泉光・著

 (中央公論新社・2592円)

 奥泉光の創作技法には毎作大きな驚きがあるが、『雪の階(きざはし)』の壮大な試みには度肝を抜かれた。作者はこの傑作において、最高度に洗練された小説文体のあり方を提示した。

 物語としては、二・二六事件前夜のオルタナティヴ・ファクト(あり得たかもしれない真相)が浮き彫りになる。男女の死の謎を解くミステリであり、二大戦間の政情を背景にした政治サスペンスであり、日本、ドイツ、ソ連をめぐるエスピオナージ(諜報(ちょうほう)もの)であり、史実をモデルにした歴史小説でもあり、そのうえ、胸キュンの恋愛小説でもある。

 而(しか)してその真の姿は? これらの小説スタイルの批評的擬態、はたまた、日本にもギリシャにもエジプトにも--世界中に--見られる、「異能のきょうだいによる天地開闢(かいびゃく)と統治」という神話アーキタイプの現代的展開と言えるかもしれない。

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