特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

特集一覧

選抜高校野球

亡き親族に誓うプレー 日大山形・渡部捕手

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
センバツ初戦前の練習に参加する日大山形・渡部雅也捕手=大阪府貝塚市内のグラウンドで2018年3月23日、的野暁撮影 拡大
センバツ初戦前の練習に参加する日大山形・渡部雅也捕手=大阪府貝塚市内のグラウンドで2018年3月23日、的野暁撮影

福島・大熊生まれ 避難先で夢かなえ

 センバツ第3日の25日に登場する日大山形の渡部雅也捕手(2年)は、東京電力福島第1原発がある福島県大熊町に生まれ、事故後も避難先で野球を続け甲子園出場の夢をかなえた。かつての仲間には震災で野球をあきらめた人もいるが、渡部選手は、「おじさん」と慕う祖母の兄の真網さん(享年73)に励まされながら甲子園を目指した。その真網さんは先月亡くなり、渡部選手は「野球を続けられなかった仲間と、おじさんに『俺は頑張っているよ』と胸を張れるプレーをする」と力を込める。

 東日本大震災が起きて、所属していた「大熊町少年野球クラブ」の仲間は散り散りになってしまった。渡部選手も家族と共に同県相馬市へ避難。クラブは解散を余儀なくされ、仲間の多くは家庭の事情や原発事故によるグラウンドの土壌汚染などで野球をあきらめざるを得なくなった。

 そんな中、渡部選手は相馬市で野球を続ける道を選ぶ。加入した地元のチームで新しい仲間と一から人間関係を築くのは簡単ではなかったが、小学2年のときに自分に野球を勧めてくれた真網さんに、何度も電話で「体が野球に向いている。頑張れ」と励まされた。渡部選手は「野球を続ける糧になった」と振り返る。

 中学を卒業した後、山形県の日大山形に進学。昨秋の新チーム発足後、捕手としてレギュラーを獲得し、昨秋の東北大会で4強入りに貢献した。真網さんからは今年1月上旬、「甲子園で頑張れ。応援しているからな」と電話で言われたのが最後となった。まだセンバツ出場の決定前。真網さんが亡くなった後、「これだけは言っておかないと」と、かけてくれた言葉だったのだと思い、胸が熱くなった。

 野球が大好きなのに、続けられなかったかつての仲間たち。どうしても野球を続けたかった自分の背中を押し続けてくれた真網さん。今は遠く離れてしまった人たちだけど、甲子園の土を踏む自分をどこかで見ていてくれていると信じている。「活躍して目立つことで元気と勇気を与えられるし、恩返しにもなると思う」と全力でのプレーを誓う。25日は第3試合(午後2時開始)で智弁学園(奈良)と対戦する。【的野暁】

関連記事

あわせて読みたい