第90回選抜高校野球
中央学院、あと一歩 初勝利かなわず 「夏にリベンジ」 /千葉
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<2018 第90回記念センバツ高校野球>
初球から思い切りバットを振る中央学院らしい野球で食らいついたものの、甲子園初勝利は持ち越しに--。第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第3日の25日、県勢の中央学院は、第1試合で明徳義塾(高知)との初戦に臨んだ。序盤にリードを許す展開から、八回に連続四死球などの好機を生かして4点をあげ、逆転に成功。しかし最終回でサヨナラの3点本塁打を浴び、5-7で惜しくも敗れた。創部47年目で立った初の聖地。「良い試合だった」。三塁側アルプス席を埋めた応援団からは温かい拍手が送られた。【富美月、佐藤緑平】
▽2回戦
中央学院 000100040=5
明徳義塾 300000013=7
約4万人が集まった甲子園球場。両校を通じて最初に快音を響かせたのは、中央学院エースの大谷拓海投手(3年)だった。1番打者として打席に立つと打球は右前へ。「悔いがないように精いっぱいやってほしい」。父・昭彦さん(47)は祈った。だが、立ち上がりは制球に苦しんだ。一回裏に3点のリードを許す展開。「まだここから!」。スタンドの声援に応えるように次第に安定感を取り戻すと、三回裏は3者凡退に打ち取る。「流れが来たぞ」。野球部員たちは青いメガホンを高く掲げた。
四回表、スタンドでは「シダックスファイヤー」が鳴り響く。相馬幸樹監督が所属した社会人野球シダックスの応援曲。チャンスの場面などで流れる一曲だ。吹奏楽部OBの伊達知里さん(19)は「試合に勢いをつけるきっかけになれば」。その言葉通り、宇田周平中堅手(3年)の中越え適時二塁打で1点を返し、2点差に。母・美佐枝さん(45)は「とにかく良かった。逆転してほしい」。
その後も平野翔遊撃手(3年)を中心に確実にアウトを取り、互いに一歩も譲らない。野球部応援団長の金子進一さん(3年)は「内容的には負けていない。ひっくり返せるはず」。
シダックスファイヤーが再び響いた八回表、連続四死球で1死満塁の好機。打席には、今回初めてレギュラー入りした高鹿隼人一塁手(2年)。「力を抜こう」。初球を振り抜いた打球は左翼方向へ。同点の2点適時打に母・こずえさん(49)はあふれる涙を抑えた。「頑張った成果が出て、本当に良かった」
さらに西村陸右翼手(3年)が中前へ勝ち越しの2点適時打を放ち、5-3。チアリーディング部の萩谷利聖さん(3年)は「逆転できると信じていた」と喜び、スタンドは総立ちだ。八回裏に1点を返されて迎えた最終回、先頭打者を二ゴロ、続く打者の打球も宇田中堅手が好捕し二死。その後、走者2人を出したが、スタンドからは「あと一つ」「集中、集中!」。
ベンチのサインは「変化(球)」。しかしこの日、大谷投手はずっと直球を選び、相手にぶつかっていた。昨秋の関東大会初優勝の際、池田翔捕手(3年)が最後に要求したのも直球だ。「大谷は秋から真っすぐに自信を持っている」。だが無情にも、その直球は捉えられ、サヨナラの3点本塁打に。整列した大谷投手は相手校歌が流れると、帽子を深くかぶってうつむき、肩を震わせて泣いた。
明治神宮大会で敗れた明徳義塾にリベンジを果たし、甲子園で初勝利を--。願いはかなわなかったが、失策0の堅い守りから流れを作り、全員で得点を積み重ねた。「夏に、また戻ってくる」。そう誓ったナインたちに惜しみない拍手が送られた。
青一色で団結力
○…三塁側スタンドを野球部カラーの「青一色」に染めようと、応援の生徒や保護者らが、初出場記念の特製衣装で声援を送った。チアリーディング部は野球部と同じデザインの専用ユニホーム姿。「アルプスを青一色にしたい」と野球部から要望を受け、髪飾りの青いリボンも部員が手作り。部長の阿部莉子さん(3年)は「一体感を持って応援したい」と声を振り絞った。一方、応援の生徒約280人は特製ジャージー姿で、手には青いメガホン。保護者やOBらも青のパーカやTシャツで統一した。女子バスケット部の梅沢友唯(ゆい)さん(3年)は「団結力を感じる。元気で一生懸命な学院らしさを発揮してほしい」とエールを送った。
受け継がれる曲
○…高校野球ファンにとって、なじみの薄い応援曲がスタンドに響き渡った。「シダックスファイヤー」。相馬幸樹監督が所属していた社会人野球シダックスの曲だ。「『中央学院といえば』という象徴的な一曲がほしい」と監督が応援団に演奏を依頼した。シダックスは2006年に廃部。監督と2年間、シダックスで共にプレーした座主(ざす)隼人さん(37)も球場で観戦し、「受け継がれていくのはうれしい」と聴き入った。
地元からエール 我孫子
中央学院の地元・我孫子市では、JR我孫子駅南口の我孫子インフォメーションセンターアビシルベで、市民ら約30人が大型スクリーンのテレビ中継を見ながら声援を送った。
明徳義塾に初回3点を許すなどペースをつかみきれないナインに、ため息も漏れがち。同校の卒業生で会社員の永野幸男さん(44)は「立ち上がりが不安定な大谷投手の制球も徐々に良くなってきた。これからです」。八回表、四死球と安打で4点を挙げて逆転すると、同校から借りたブルーのメガホンをたたき、「やったー」と喜びを爆発させた。
しかし、最終回で3点本塁打を浴び、無念のサヨナラ負け。「ウソでしょう」という声が漏れ、永野さんも「これが高校野球か……」。市内に住む松本貴子さんと長男で小学4年の寛寿さん(10)の親子は「最後の逆転負けは悔しいけど、良い試合で、よく頑張った。夏も甲子園に行って勝ってほしい」と健闘をたたえた。【橋本利昭】
■白球譜
夢舞台、背番号7で復帰 田中大暉左翼手(3年)
「大暉さん!」「大暉いいぞ」--。三塁側スタンドからは試合中、復帰したばかりの田中大暉左翼手(3年)への声援が途切れなかった。「横を見たらみんなの声がした。この舞台に立たせてもらえたことに感謝したい」
年明け直後の合宿最中、腰に強い痛みを覚えた。昨秋の県大会中盤から少しずつ悪化していた痛み。「まさか」。病院に行くと、椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断された。昨秋は公式戦全14試合に出場。センバツ出場選手中3位タイの8盗塁を決め、打率もチームトップの4割1分5厘だった。「もっと早く言えば良かった」。痛みは増し、歩くこともままならない。相馬幸樹監督から勧められて毎日つけていたノートには「いらいらする」「焦る」の文字。それでも、寝ながらできる肩と肘のトレーニングなどを続けた。
2月中旬。父・周作さん(47)が探してくれた病院で手術に踏み切った。その後のメンバー発表。後ろにいると、長谷川剛士さん(3年)から「前に来いよ」と肩をたたかれた。与えられたのは秋と同じ背番号7。落ち込んでいると笑わせてくれ、荷物も代わりに持ってくれた。この仲間たちと、どうしても甲子園に立ちたい--。
夢舞台では、俊足を生かして打球を好捕した。「1月には、まさか立てると思っていなかった場所。打撃で引っ張れる選手になって、もう一回、この舞台に立ちたい」。夏に快音を響かせると誓った。【富美月】
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