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@大学特別編 就活・採用の現場から

「働き方改革」どう影響 吉本隆男・マイナビ編集長に聞く 

よしもと・たかお 大阪府出身。1990年、毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。就職情報事業本部で、新卒採用における各種採用広報ツールの制作を手がける。その後、出版事業部にてパソコン雑誌、転職情報誌の編集長などを務める。2015年から現職、17年、就職情報事業本部キャリアサポート推進統括部部長

自己実現踏まえ職選び

 就活戦線は、今年も好調な就職状況が続きそうだ。とはいえ、内定をいくつも得る学生がいる一方、なかなか決まらないという学生もいて、二極化が進む。国が働き方改革を唱える中、売り手市場の就活戦線では、どんなポイントに留意すればいいのか。マイナビの吉本隆男編集長に聞いた。

     経団連が定める採用選考に関する指針では、2019年卒の学生も18年卒の学生同様、広報活動開始が3月、選考活動が6月からとなる。18年卒の学生は前年より選考開始が8月から2カ月前倒しされたこともあり、学生も混乱したようだ。18年卒の就職戦線を振り返り、吉本さんはこう説明する。

     「売り手市場ということもあり、『焦らなくても大丈夫』などと言われ、企業研究など十分な準備をせず、楽観ムードのまま3月を迎えた学生が多かったようです。一方、インターンシップや企業研究をしっかりしてきた学生は重複内定を勝ち取るという二極化が進んだように思います」

     ●自己分析しっかり

     では19年卒はどうなるのか。大学関係者に話を聞くと、すでに面接を始めたり、一部内定を出したりしている企業もあるという。売り手市場の中で企業側も優秀な学生確保に躍起になっているのだ。

     だが、吉本さんは「決して焦ることはない」と断言し、こう付け加える。

     「まずは、自分が社会とどう関わりたいかをしっかり考えてください。自己分析をした上で、説明会に出向くなど具体的にアクションを起こすことが大切です。大手企業でも採用期間は長くなっています。6月で終わりというわけではありません。昨年の場合も、9月以降も採用を続けていた上場企業が約3割ありました。大学のキャリアセンターや学内で行われるセミナーなども活用しながら取り組んでください」

     就活で失敗する人が陥りがちなポイントは次の三つだという。(1)自己分析が甘い(2)大手企業や知名度の高い企業にこだわり過ぎる(3)筆記試験の準備ができていない--。

     中でも(2)には注意が必要だ。インフラ系の企業など企業間取引(BtoB)が多い会社は、その規模が大きい割に大学生にはなじみが薄く、見逃されがちだ。だが、歴史があり規模が大きい会社も数多く、福利厚生などが充実し、働きやすいところも多い。吉本さんは、次のようなことを強調する。

     「どんな会社に入りたいかではなく、どう自己実現をしたいかという観点から見ていくと、希望の職種にも幅が出てきます」

     吉本さんによれば、採用難ということもあり、近年は子育て支援制度などに力を入れ始めている会社が増えているという。女性にも長く働いてほしいと考えているからだ。

     「会社説明会や会社訪問などでは、女性幹部の数など、どんな人が管理職として働いているのか、福利厚生に関する制度が、実際にどのように活用されているのかなどを確認してほしいですね。その上で、選択肢の一つに加えてみるといいと思います」(吉本さん)

     ●選考にAI活用も

     表は昨年10月から11月にかけて全国の優良企業8000社に新卒内定状況を聞いたマイナビの調査の中で、19年卒の採用活動で重点を置く手法を聞いたものだ。上位には学校訪問や合同企業セミナー、学内セミナーなどが並び、ウェブによる適性検査なども約1割が導入している。

     IT化が進む中で、このような動きは加速化している。近年はセミナーをウェブで行い、時間や場所の制約なしに参加できるようにもなっており、志望企業へのコンタクトにも変化が見られるようになってきた。また、書類選考や適性検査・筆記試験へのAI(人工知能)の活用もされるようになっている。

     人生100年時代といわれる中、各自がライフプランを意識しながらキャリアデザインを考える時代になっている。それだけに、就活ではしっかり自己分析をした上で、その会社で働くことで自分をどう生かし、どう成長させるかということを意識しながら会社選びをしたい。【中根正義】

    NTT西日本の小島麻里さん

    若手が感じるワーク・ライフ・バランス NTT西日本の若手社員に聞く

     官民を挙げて働き方改革が推進される中、現場の若手社員はどのように感じているのだろうか。「社会の課題解決に貢献する企業」として、多様な働き方の実現(ワーク・ライフ・マネジメント)に力を入れるNTT西日本(大阪市中央区)経営企画部の小島麻里さん(28)に話を聞いた。

     ●柔軟に効率的に多様に

     --まず、NTT西日本を志望した動機を教えてください。

     就職セミナーで、通信の強みについての説明を聞いたのがきっかけです。私は大学時代、東京で1人暮らしだったのですが、ほとんどの友人は実家から通学。実家が好きだったので、うらやましく感じました。都会だからできることがある一方、地方だとあきらめざるを得ないことが多いと感じました。

     でも、通信は遠くにあるもの同士をつなげることができます。離れている人と人だけでなく、さまざまな業種などを結ぶことができるため、地方が抱える課題の解決手段としての可能性を感じました。

     --現在の仕事内容は?

     入社後、金沢支店、静岡支店を経て、今は本社の経営企画部に所属しています。当社は電話やインターネット回線のほか、さまざまなサービスを展開しています。グループ会社も含めるとさらに多岐にわたり、時に組織の溝が生じることもあります。地方の現場を経験する中で、全体を俯瞰(ふかん)する立場からそうした溝を埋める役割が必要なのではと感じ、今の部署を希望しました。

     具体的には、情報通信サービスや他事業者との接続に係る料金および制度の検討などに関わっています。この営業企画部門は約30人の組織で、30代が多く活躍しています。新しい視点を学べ、日々勉強になります。会社にとって非常に重要な業務に関わることができ、やりがいを感じると同時に、もっと貢献できるようにステップアップしていきたいです。

     --ハードな働き方をイメージしますが、実際は?

     基本的には午前9時半~午後6時。残業も多少ありますが、2月からはフレックスタイム制が導入され、より柔軟に働けるようになりました。仕事が忙しい時は長めに勤務し、ゆとりのある時は早めに帰るといった使い方をしています。単身赴任の人は金曜日は早い時間から勤務することで、週末に家族と過ごす時間を充実させるなど活用しています。

     これを機に、社員一人一人が先々のスケジュールを把握しながら、効率的な働き方についてこれまで以上に考えるようになったと感じます。

     年次休暇も取得しやすい環境です。年間20日で、特に時間単位でも使え、とても助かっています。病院を受診のために日中数時間休んだり、洗濯物を干し忘れて家に戻ったりしたこともあります(笑い)。

     --今後のキャリアビジョンや、ワーク・ライフ・バランスについての考えは?

     私は長く働き続けたいので、就活中から福利厚生制度の有無だけでなく、実際の利用しやすさなどを社員の人に確認していました。NTT西日本は皆が利用しやすいと口をそろえていたので安心できました。

     ワーク・ライフ・バランスは、ワークとライフが半々になっているのが一番いいわけではなく、個人ごとに、またライフステージによっても違うと思うので、それぞれに合ったベストバランスを選択できることが重要なのかなと思います。

     私は今年結婚予定です。地方への転勤もある会社なので、今後どうなるかはわかりませんが、人事異動の際は家庭事情も配慮してもらえると聞いています。社内には女性の管理職や、ワーキングマザーの方も多く、社内のセミナーなどで交流する機会も多いので、いろんな先輩方の話を聞きながら、自分なりのバランスを考えていきたいと思っています。【大道寺峰子】

    <メモ>

     年次休暇取得率98.0%(年間20日支給 ※夏季休暇・年末年始の休日を除く)▽月平均残業時間11.4時間▽女性社員の育児休職者315人(取得率100%)▽在宅勤務利用者623人▽そのほか介護や不妊治療などに使えるライフプラン休暇や、再採用制度などが整えられている。(データは2016年度)

    中根の目 データが語る-特別編- 実就職率、モノづくりの理工系評価

     大学通信と週刊「サンデー毎日」は2017年春に卒業した学生の就職状況調査を行った。それによると、平均実就職率は87.8%となり、前年を1.5ポイント上回った。18年春も好調で、この状況はあと数年は続きそうだ。

     表は17年春の実就職率トップ10校を紹介したものだ。これを見ると、金沢工業大や愛知工業大、大阪工業大など理工系の大学が半数を占めている。モノづくりを通した実践的な教育に定評のある大学が、企業の評価を高めているようだ。

     金沢工業大は地元企業ばかりでなく、JR東海、三菱電機といった大企業への就職者も多い。福井大は国公立大で9年連続トップに立つ。日本福祉大や国際医療福祉大は就職に有利な医療・福祉系の資格取得ができ、昭和女子大はきめ細かなキャリア支援で知られている。

     第4次産業革命ともいわれるイノベーションの大波が押し寄せる中、以前のような就職イコール就社という時代は終わりを迎えつつある。今後は、各人のキャリア、ライフプランをどう充実させていくかという視点から、就活をとらえ直していくことが重要になりそうだ。【大学センター長・中根正義】

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