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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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第90回選抜高校野球

花巻東、反撃かわす 9年ぶり勝利に大歓声(その1) /岩手

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【東邦-花巻東】一回裏花巻東1死一、三塁、紺野留斗の打球がエラーを誘い、菅野豪琉が生還=阪神甲子園球場で、平川義之撮影
【東邦-花巻東】一回裏花巻東1死一、三塁、紺野留斗の打球がエラーを誘い、菅野豪琉が生還=阪神甲子園球場で、平川義之撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 ▽2回戦

東邦  000001002=3

花巻東 10020011×=5


 偉大な先輩を超えて日本一へ--。第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第4日の26日、花巻東は初戦となる2回戦で東邦(愛知)を5-3で降した。花巻東のセンバツ勝利は菊池雄星投手(現西武)を擁して準優勝した2009年以来9年ぶり。3回戦は31日の大会第9日第2試合(午前11時開始予定)で、彦根東(滋賀)-慶応(神奈川)の勝者と対戦する。【三瓶杜萌、川崎健、田崎春菜】

 二塁打で3点差とされた九回表1死二、三塁のピンチ。ナインはマウンド上に集まり、菅原颯太主将(3年)から伝令を受けた。「一つ一つアウトにしてこう」。続く打者を内野ゴロに打ち取り、あとアウト一つ。高く上がった白球が左翼手のグラブに吸い込まれると、花巻東を応援する一塁側アルプススタンドから「わーっ」という大歓声が上がった。

 田中大樹投手(3年)の好投がチームに流れを引き寄せた。チーム打率3割9分8厘と強打の東邦打線を緩急を使った投球で抑え、五回まで無失点。左打者にも決め球のチェンジアップで果敢に攻め、ゴロに打ち取った。さらには、この冬習得したスクリューで打者のタイミングを外し、8三振を奪った。

 田中投手の勢いに打線も応えた。一回、先頭の菅野豪琉(たける)中堅手(3年)が死球で出塁し、犠打などで1死一、三塁とすると、打席には4番・紺野留斗左翼手(3年)。初球から振り抜くと、強打で遊撃手のファンブルを誘い、先制の走者を還した。アルプススタンドからメガホンを握りしめて声援を送っていた父美昭さん(41)は「小さいころからファーストストライクを全力で振るように言ってきた。それが先制打になりよかった」と喜んだ。

 1-0で迎えた四回には、持ち味の機動力野球が光る。先頭の中村勇真右翼手(2年)が四球で出塁。バントなどで1死二、三塁とすると、田中投手が右前に鋭く抜ける打球を放ち、二塁走者もヘッドスライディングで生還して2点を加えた。田中投手の母昭子さん(50)は「この場所で打ってくれて夢のよう。投球でも打たせて取る持ち味を出し切ってきてほしい」と涙声だった。

 六回に1点を返されるも、七、八回で2点を追加。常にリードして守りきった。生徒会副会長で応援団の照井匠さん(16)は「強いと聞いていた東邦相手にドキドキする試合展開だった。この流れを次戦にもつなげてほしい」と勝利を祝福した。


 ■白球を追って

「セル」を信じて 花巻東・3年 田中大樹投手

田中大樹投手 拡大
田中大樹投手

 2点差に詰め寄られた九回表、2死二塁。「セル(細胞)に任せる」と心の中で唱えた。今までやってきたことは自分の体に染みついている、という意味の言葉だ。腕を振り切って投げたのは決め球のチェンジアップ。詰まった打球が左翼手のグラブに吸い込まれた。校歌の前奏が流れると、ほっとした気持ちで涙がこみあげてきた。

 先発した昨秋の東北大会準決勝、日大山形(山形)戦では、七回まで1失点に抑えるも八回に3点を奪われ、チームの勢いを消してしまった。「ストライクゾーンに置きに行こうと弱気になって、チェンジアップの腕の振りが遅くなってしまった」と振り返る。

 終盤にピンチを迎えても自信を持って変化球を投げられるよう、この冬は体重を約7キロ増やした。体重増のための「食事トレーニング」では茶わんではなく、ラーメンの丼鉢にご飯を盛ってかき込んだ。おかげで下半身が安定し、変化球の切れが鋭くなっていった。

 「九回まで投げきれるか不安もあったが、バックが助けてくれた。勝ててよかった」。試合後はすがすがしい表情だった。【三瓶杜萌】

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