特集

第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

特集一覧

第90回選抜高校野球

下関国際の粘りに拍手 あと一本出ず惜敗 創成館に1-3 /山口

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
【下関国際-創成館】試合後、アルプス席にあいさつに向かう下関国際の選手たち
【下関国際-創成館】試合後、アルプス席にあいさつに向かう下関国際の選手たち

 <センバツ甲子園>

 第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第4日の26日、下関国際は創成館(長崎)と2回戦で対戦し、1-3で惜敗した。エース・鶴田克樹投手(3年)は8回126球を投げ抜き味方の援護を待ったが、あと一本が出なかった。昨夏に続いて出場した甲子園の舞台で最後まで粘り、確かな成長を見せた選手たちにスタンドからは「また夏に戻ってくるぞ」とエールが送られた。【佐藤緑平、岩間理紀】

 ▽2回戦

下関国際

  010000000=1

  20000010×=3

創成館

 試合は一回、いきなり動いた。連続二塁打などで2点を失ったが、鶴田投手を中心に、マウンドに集まった選手たちは「まだ序盤」「2点はOK」と落ち着いていた。

 直後の二回、先頭の5番・川上顕寛選手(3年)が「強く振るだけ」と初球を左前へ。父秀明さん(58)は「甲子園初ヒットだ」と喜んだ。安打とゴロで川上選手は三塁に進み、打席の8番・品川優人選手(3年)は「転がせば確実に取れる」。サイン通りスクイズを決め、1点を返してスタンドの声援に応えた。

 中盤は両投手が好投を見せ、スコアボードに0が並ぶ展開に。一塁側アルプススタンドで声を張り上げた白石佑希さん(3年)は「チャンスを生かしてほしい」と願い、浜松晴天(そら)主将(同)の父寛さん(43)は「我慢比べ。次の1点が大事だ」と戦況を見つめた。

 相手投手が交代した七回、2死二塁の場面で甲山達也選手(3年)が右前に打ち返す。「いける」。二塁走者の浜松主将は会心のスタートを切った。滑り込んだ手先にホームベースの感触はあったが、球審の判定はアウト。チアリーダーで2年の池田さくらさんは「惜しいところがいっぱいある。頑張ってほしい」と話した。

 2点差で迎えた九回、品川選手が死球で出塁すると佐本快選手(2年)、浜松主将が連打で続き、1死満塁に。打席の甲山選手はここまで2安打。約500人の応援団からは「頼むぞ」「行け」と大声援が響いた。「絶対に還さなくては」とボールをよく見て直球を捉えたが、打球は三塁手の正面へ。甲山選手のヘッドスライディングも及ばず、ダブルプレーで試合は終了した。

 甲山選手の父克也さん(46)は「粘り強く戦った」と最後まで諦めず挑戦したナインをねぎらった。

地元、大声援「この悔しさを夏にぶつけて」

 下関国際が甲子園初戦を迎えた26日、下関市竹崎町のシーモール下関には特設テレビが設置され、開業時間前の午前9時から地元ファンらが試合の行方を見守った。

 1点を追加され、2点を追う八回。高校野球好きの坂田勇さん(77)は「あと2回あるからね。まだ分からない」と力を込めた。九回、浜松晴天主将の安打で満塁になると、集まった人たちは身を乗り出して声援を送った。しかし、最後の打者が併殺に倒れると、会場からは「あー」とため息が漏れた。

 滋賀県栗東市から祖父母宅に来ている中学1年、甲斐礼恩(れおん)さん(13)は「九回は打線もつながり、最後は満塁まで粘れて良かった。この悔しさを夏にぶつけてほしい」。近くの山口朋二さん(77)は「相手投手は良かったが、その好投手を打てたし、あれだけの試合ができれば夏は大丈夫だ」と期待を込めた。三重県鈴鹿市から帰省中の母親(42)と応援した久保諒之介さん(8)は「悔しかったけれど、選手は頑張ったと思う」と健闘をたたえた。【上村里花】

“フグ”も声援

 ○…一塁側アルプス席には、下関市のシンボルマーク「フクフクマーク」を身に着けた地元応援団ら約500人が詰めかけ、熱い声援を送った。マークは、可愛らしく描いた市の魚・フグを、下関の頭文字「し」と関門海峡のダイナミックな波を表す円で囲んだデザイン。観戦した前田晋太郎市長は「たくさんの地元の方が応援している。昨夏以上の期待を持っています」と、市民を一つにする選手たちのダイナミックなプレーを見守った。

友情応援が実現

 ○…下関国際ナインを応援しようと、アルプス席には大阪府立佐野高(泉佐野市)の生徒らが「友情応援」に駆けつけた。坂原秀尚監督の中高時代の後輩との縁で、初めて実現。ブラスバンドやチアリーディングなど応援団の半分近くを佐野高生が占め、地元組と初顔合わせながら、息ぴったりの応援を披露した。佐野高吹奏楽部の西村英起部長(3年)は「初めてのことで緊張しますが、友情応援で頑張ってほしい」と激励した。


 ■白球

「もう一回、夏に」再起誓う 浜松晴天主将=下関国際3年

浜松晴天主将 拡大
浜松晴天主将

 二回表2死一、二塁の打席で迎えた追加点のチャンスに、七回のクロスプレー。強豪・創成館に挑戦した2回戦、僅かな差でものにはできなかったが、試合の要所にはいつも主将の姿があった。

 この冬、インフルエンザで体調を崩した。復帰直後の2月上旬、走り込みで設定タイムを守れない主将に対し「なんでやらないんだ」「誰が信頼できるんだよ」と、仲間から容赦ない指摘の声が飛んだ。「主将を辞めようか」。一時は本気で思い悩んだが、チームメートの信頼を取り戻す道を選び、朝練習前に嶋大将(だいすけ)コーチ(25)からノックを受け、休んでいた分以上に走り込んだ。

 「やった分は自信になる」。3月に入ると本来の動きを取り戻し、2度目の甲子園を迎えた。強力な相手打線に、チームは何度もピンチを迎え、自らも悔しいエラー。しかし、苦しい展開でも声を切らさず、チームメートを鼓舞した。

 九回1死一、二塁の打席。試合最後の要所は左前へはじき返して満塁とし、一打逆転のチャンスを演出した。坂原監督は「中心の人間はゲームのポイントにいる。最終回ではきっちり打った」と更なる成長に期待を込める。

 「もう一回、夏に挑みたい」。背中で引っ張る主将は、土にまみれたユニホームで再起を誓った。【佐藤緑平】

〔下関版〕

次に読みたい

あわせて読みたい