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社説

天皇陛下の沖縄訪問 寄せ続けた深いお気持ち

 退位する前にもう一度、沖縄を訪れておきたいという強いお気持ちが表れている。

     天皇、皇后両陛下はきょうから沖縄県を訪問される。太平洋戦争の戦没者を慰霊するのをはじめ、日本最西端の与那国島を初めて訪れる。

     両陛下の沖縄訪問は、米潜水艦に疎開船が撃沈された対馬丸事件から70年にあたる2014年6月以来で、皇太子時代を含めて今回が11回目となる。陛下の在位中、最後の訪問となる見通しだ。

     陛下が皇太子の時に初めて訪れた1975年7月、過激派から火炎瓶を投げつけられる事件があった。その夜、次の談話が発表された。

     「(沖縄戦などで)払われた多くの尊い犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものではなく、人々が長い年月をかけて、これを記憶し、一人一人、深い内省のうちにあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません」。陛下の思いがにじんでいる。

     陛下は現地の人々との交流を通じて沖縄の歴史や文化にも触れてきた。関連する蔵書も多いという。沖縄伝統の琉歌についても琉球王国の王が詠んだ歌を手本に知識を深め、専門家を驚かせるほどだった。今回、初訪問となる与那国島でも地元の伝統芸能を鑑賞する。

     これほど深いお気持ちを寄せるのは、苦難の歴史を考え続けてきたからだろう。記者会見でも「沖縄の歴史を深く認識することが、復帰に努力した沖縄の人々に対する本土の人々の務めであると思っています」と述べている。

     琉球王国は薩摩藩に征服され、幕府の影響下に置かれる。明治期に入ると政府の琉球処分で沖縄県が設置され、王国の歴史に幕を閉じた。太平洋戦争では唯一の地上戦を経験し、戦後は72年まで本土復帰がかなわず、復帰後も過重な基地負担にあえいできた。

     戦後の保守政権はこうした歴史を踏まえて沖縄と向き合ってきたが、現政権は冷淡と言わざるを得ない。一部の政治家らも沖縄を中傷する発言をして、沖縄県民の感情をさかなでしている。

     本土との溝が深まる中での両陛下の訪問は、国民統合の象徴としての存在をより強く感じさせられる。

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