特集

第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月9日~25日)の特集サイトです。

特集一覧

第90回選抜高校野球

花巻東5-3東邦 花巻東、変幻の左腕

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
【東邦-花巻東】5安打3失点で完投した花巻東の田中=久保玲撮影
【東邦-花巻東】5安打3失点で完投した花巻東の田中=久保玲撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

第4日(26日・阪神甲子園球場)

 ○…2回戦…○

 ▽午後2時2分開始(観衆3万5000人)

東邦(愛知)

  000001002=3

  10020011×=5

花巻東(岩手)


 投打のかみ合った花巻東が逃げ切った。一回は四死球などで1死一、三塁から紺野の遊ゴロ(記録は失策)で先制。四回には田中が右前2点適時打。七回は阿部の中前適時打で突き放した。先発・田中はチェンジアップがさえて被安打5で3失点完投。東邦は九回に北川の適時二塁打などで2点を返したが、反撃が遅かった。

 ■白球を追って

強打・東邦空切るバット

 待っても待っても花巻東の先発左腕・田中のチェンジアップは、ホームベースになかなか届かない。2点差に迫られた六回2死一、二塁。フルカウントから山本に投じたボールは外角低めにきっちりと制球され、バットに空を切らせた。左腕は小躍りしながらベンチに走って戻った。

 東邦の昨秋の公式戦(16試合)本塁打数23、打点数146はいずれも出場校中1位で、打率3割9分8厘も2位。破壊力抜群の打線に対し、スリークオーターの田中はリリースポイントを見えづらくするため、打者に背番号がくっきり見えるほど体をひねって投じる。「東邦は真っすぐに強そうだし、真っ向勝負では打たれる」とかわすことを心掛け、揺れながら落ちるチェンジアップにタイミングが合っていないと見るや多投した。8三振を奪い、強力打線に5安打しか許さなかった。

 2点を返された九回の守りでは、途中から一部の観客がタオルを振り回し始めた。2016年夏の甲子園の2回戦で、東邦が八戸学院光星(青森)相手に九回に4点差をひっくり返した際にもタオル回しの肩入れ応援があり、その再現かと思われたが、田中は「エースとしての見せどころ」と奮い立ってしのいだ。

 過去2回の出場では菊池雄星(西武)、大谷翔平(米エンゼルス)と速球派が背負ってきた花巻東の背番号1。今大会のエースは変幻自在の技巧派だ。【藤田健志】

機動力封じた肩

 ○…花巻東の捕手・佐藤が要所で東邦の機動力を封じた。3点リードの五回1死一塁で、初球にスタートを切った相手走者をストライク送球で二塁で刺し、流れを渡さなかった。1試合平均盗塁数(3・3)が出場校中最多の東邦にそれまで2盗塁を許し、「走られてもいいや、くらいの気持ちだった」と明かすが、捕球から二塁への送球が2秒を切る強肩の持ち主。好リードも光って「体よりも頭が疲れました」と笑わせた。

 ■春きらめく

剛腕、聖地に宿題 扇谷莉(おおぎや・らい)投手=東邦・3年

【東邦-花巻東】四回途中で降板した東邦の扇谷=久保撮影
【東邦-花巻東】四回途中で降板した東邦の扇谷=久保撮影

 降板した四回途中まで無安打に抑えながらも、与四死球は毎回の5。187センチの長身から投げ下ろす直球の制球は安定せず、「自分が試合を壊してしまった」と伏し目がちに振り返った。

 一回から球が荒れた。先頭の右打者への初球は、138キロの直球が内角高めに浮いて左肩に当たってしまった。さらに暴投や四球と独り相撲でピンチを広げ、先制を許した。その後もスライダーやカーブでカウントを整えてから直球で勝負しようとしたが、勝負球をファウルで粘られると、持ちこたえられなかった。

 最速146キロを誇る本格派右腕で、昨秋の公式戦では4完封を含めて防御率1・54。だが、この日は体の開きが早く、右打者の内角を突いた球がそのまま抜け、外角を狙えばシュート回転で甘く入ってしまった。冬場にその悪癖を直したつもりだったが、甲子園は甘くなかった。「もう一度自分を見つめ直すしかない」。エースの責任を背負ったまま、聖地を去った。【浅妻博之】

2年生4番、動揺

 ○…東邦は頼みの4番・石川が4打数無安打と、役割を果たせなかった。一回2死三塁の先制機は「打った時のイメージは良かった」というものの二飛。1点を追う四回無死一塁では、盗塁を阻止しようとした捕手の送球を妨げたとして守備妨害を宣告された。「自分が打っていれば流れが変わったのに、無駄なアウトを相手に与えてしまった」。新チーム結成後に4番を任され、昨秋は公式戦3本塁打を放った2年生。めったにないプレーに動揺を隠せず、試合を通して精彩を欠いた。

次に読みたい

あわせて読みたい