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武田 砂鉄・評『幸福書房の四十年』岩楯幸雄・著

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その本が棚にある意味が確かに聞こえていた

◆『幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ!』岩楯幸雄・著(左右社/税別1250円)

 東京・代々木上原駅前にある20坪の本屋「幸福書房」が2月で閉店してしまった。実に悲しい。いくつかの媒体で書評を書く仕事をしているが、幸福書房は、本選びのために頼る本屋の一つだった。そこにその本が置かれている意味が聞こえる本棚には、常に緊張感があった。書店店頭で時折見かける、皮下脂肪のようなだらしない一角がどこにも存在しない。引き締まった本棚から数冊引っこ抜いた。

 40年前、兄弟で始めた書店業を辞める決断を下した理由は、ずばり「本が売れない」。良き時代を回想するのではなく、置かれている厳しい財政状況をあけすけに語り、その上で本屋の仕事が「なによりの幸せ」と語る。

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