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第94回センバツ高校野球

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第90回選抜高校野球

伝える、沖縄の記憶 故郷の戦禍、野球で 松山聖陵・真栄城主将

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「沖縄の歴史を知ってほしい」と初戦に臨む松山聖陵の真栄城隆広主将=兵庫県西宮市の津門中央公園野球場で2018年3月27日、中川祐一撮影 拡大
「沖縄の歴史を知ってほしい」と初戦に臨む松山聖陵の真栄城隆広主将=兵庫県西宮市の津門中央公園野球場で2018年3月27日、中川祐一撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 センバツ第6日の28日、初戦を迎える松山聖陵(愛媛)の真栄城(まえしろ)隆広主将(3年)は那覇市出身。高校進学で地元を離れ、太平洋戦争の沖縄戦が知られていないことに衝撃を受けた。野球漬けの日々が続き、悲劇を周囲に伝える余裕もなくなりつつあったが、大会直前にチームで沖縄県糸満市の「ひめゆりの塔」を訪れ、歴史を伝える大切さを改めてかみしめている。

 「今日は何の日か知ってる?」。高校1年の6月23日、沖縄戦が終結した「慰霊の日」であることを同級生に尋ねた。故郷では休日になり正午に黙とうもする。だが答えは返ってこない。「同じ日本人なのに」。やりきれなさを感じ、休み時間に沖縄の方角を向き、そっと目を閉じた。

 住民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦は、小学生の頃から授業で聞き、語り部の言葉や犠牲者の写真が頭から離れない。もっと知ってほしい。その思いとは裏腹に、日がたつにつれて頭の中は野球でいっぱいになった。2年目の慰霊の日は、夏の愛媛大会目前のレギュラー争いで黙とうの余裕はなく、主将になるとチームをまとめるのに精いっぱいに。厳しい練習にふがいない自分。思わず涙が頬を伝った。

 今月12日の沖縄遠征最終日、同じ沖縄出身である荷川取(にかどり)秀明監督に連れられ、ひめゆりの塔を訪れた。若くして死んでいった「ひめゆり部隊」の女子たちを自らに重ねると、真栄城主将は涙が出そうになった。ナインは「悲劇を繰り返してはならない」などとそれぞれが感想を文章にまとめ、平和な生活のありがたさをかみしめた。

 「野球ができているのは当たり前のことじゃない」。28日の近江(滋賀)戦で精いっぱいプレーするとともに、野球を通じ「沖縄」を伝えたいと思っている。ベストを尽くし、今年の慰霊の日は黙とうするつもりだ。【中川祐一】

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