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社説

中学校の道徳教科書検定 指導する項目に柔軟さを

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 来春から中学校の授業で使われる「特別の教科 道徳」の教科書の検定結果が公表された。昨年の小学校に続き、正式な教科に決まってから初の検定で、注目されていた。

 従来の「読ませる道徳」から、議論を重視した「考える道徳」への転換を意識した教科書になっている。

 人気漫画の「ブラック・ジャック」や五輪選手、インターネット将棋を題材に使うなど、生徒に興味を抱かせる内容も多い。

 教員が指導しやすいよう「考えを話し合ってみよう」などとクラスで議論するポイントも示している。

 道徳が正式な教科になったのは、2011年に大津市で起きた中2男子生徒のいじめ自殺が契機だった。

 今回の検定に申請された全ての教科書で、いじめ問題を扱った。教員が見付けにくいインターネット上の生徒同士のやり取りを題材にした教材も目に付く。

 生徒が教員と対話したり、議論を深めたりする教材として、それなりの工夫が認められる。

 検定は、学習指導要領が示す項目に沿っていることを細かく求めた。

 道徳では「節度、節制」「真理の探究」など22項目で教えるべき要素を満たさねばならない仕組みだ。

 例えば「節度、節制」の項目では「望ましい生活習慣」や「心身の健康の増進」などに加え「安全で調和のある生活」と多岐にわたる。

 この「安全」を題材にした記述がないと指摘され、コラムのテーマを障害者から交通安全に差し替えた教科書もあった。

 だが、教える項目に形式的に沿ったからといって、道徳的な心が養われるわけではない。むしろ教材を触媒にした柔軟な議論が必要だろう。

 道徳の授業は年間35時間だ。授業で項目を全て消化しようとすれば、教材の読解に時間が取られ、生徒が議論する幅が狭くなる恐れもある。

 まして、教員が一方的に価値観を押しつけるようであれば「考える道徳」にはならない。

 教科になった道徳は評価も伴う。唯一の正解があるわけではない。生徒の内面の変化をどうとらえて評価するか。教員の模索は続くだろう。

 教科書はあくまで「主たる教材」だ。それを材料に授業で工夫をこらすことが、生徒の心に響くはずだ。

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