25年ほど前、米国のグラッドストーン研究所(カリフォルニア州)に博士研究員として留学中のことです。当時所長だったロバート・マーレー先生が、私たち若い研究者を集め、こう言いました。
「研究者として成功するための秘訣(ひけつ)はVWだ」
私は父親を亡くしてすぐに留学したこともあり、マーレー先生は「米国のお父さん」のような存在です。マーレー先生は、当時も今もドイツ車に乗っていますので、VWはフォルクスワーゲンにかけたのかもしれません。もちろんこの場合は違います。「ビジョン・アンド・ワークハード(Vision and Work hard、目標を持って懸命に仕事する)」の頭文字です。「VW」は、四半世紀たった今も私のモットーとなっています。
当時の私は、まさにワークハードしていました。同じ時間で他の人の2倍、いや3倍の実験ができないかを考えていました。整形外科の臨床医を辞め、小さい子ども2人を連れての留学。妻も自分の仕事を犠牲にしてついてきてくれていました。「ここで一旗揚げないと日本には帰れない。良い論文を書き、研究費をもらい、そして良い職に就かなければならない」。そんな気持ちで必死でした。
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