特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

特集一覧

選抜高校野球

夢は外野へ、宇宙へ 静岡・梅林浩大選手

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷

 センバツ第7日の29日、3回戦に進む静岡(静岡)の梅林浩大選手(3年)は、宇宙飛行士になる夢を少年時代から追い続けている。勉強との両立に悩み、野球を諦めかけた時もあったが、宇宙に行くことも甲子園に行くことも「どちらもかけがえのない夢」と思い直し文武両道に励んできた。本気で野球と向き合ってきた成果を見せるため出番を待つ。

 中学校の図書館で見た科学雑誌「Newton(ニュートン)」がきっかけで宇宙の世界に憧れ、「実際に行ってみたい」と夢見るようになった。このころからチームでは4番。勉強にも、野球にも全力投球するつもりだった梅林選手にとって、静岡県内屈指の進学校で、甲子園常連校の今の学校は最高の環境に思えた。

 ところが入学後、壁にぶつかる。他の部員のレベルは想像以上に高く、練習を頑張るほど勉強がおろそかになっていく。宇宙について学ぶには、理系の難関大学に入らなければと思い、ひそかに「勉強だけ頑張ろう」と考えるようになった。

 思い直すきっかけになったのが、「野球がうまくならないからといって勉強に逃げるな」という栗林俊輔監督(45)の言葉だった。小学校で野球を始めてからずっと憧れた甲子園。そして、両親にせがんで買ってもらった天体望遠鏡で見つめてきた宇宙。両方に行くのが入学時の目標だったと思い出し、どちらも全力で取り組もうと決めた。

 普段の授業を従来以上に真剣に受けるようにし、自習時間の短さをカバー。1日1時間の自習では数学の問題を5問解き、30の英単語を覚えることを自らに課した。野球では長打力を磨こうと、下半身の筋力アップにも着手した。成績は学年上位を維持できるようになり、プレーでは昨秋の県地区大会準決勝に代打出場し、勝ち越しの三塁打を放った。

 たどり着いたセンバツ。初戦の駒大苫小牧(北海道)戦は出場機会に恵まれなかったが、打席に立てば打球を飛ばす自信がある。29日の相手は強豪・東海大相模(神奈川)。梅林選手は言う。「大きな舞台で長打を打ち、宇宙にも行く。『もっと遠く』を目指し続ける」【大谷和佳子】

関連記事

あわせて読みたい