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チンドン繁盛記

昭和外伝/9止 楽士・中沢寅雄の手記(4) 戦後の全盛期到来 /東京

 「昭和十六年十二月八日大東亜戦争勃発。岡崎で三日間の留屋(とや)楽屋泊まり、(中略)内閣総理大臣東条英機の方針で演芸は諸氏の心をなごますので娯楽演芸おおいによろしとの命令が出たので、各演芸場、映画館一斉に開場開館した」(中沢手記)

 チンドン屋が暇になり、「大宮舞踊劇団」のバンドに鞍(くら)替えした中沢寅雄だったが、旅興行先で太平洋戦争の開戦に遭う。先行きを危ぶんでいたところ、東条が12月17日の貴族院での質疑で、戦時体制の「緊張を永続きさせるにはどうしても一方健全娯楽による換気的手段も考えねばならぬ。必要あらば体育はもちろん歌舞伎、映画、落語や浄瑠璃でもそれが健全なるものであるかぎりどしどしやらせたい方針」と答えたと、18日の朝日新聞が伝えた。

 興行では九州から北海道、礼文島まで廻(まわ)り、阿部昇二(坂上二郎の師匠)と漫才のコンビを組んだこ…

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