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「新芸」とその時代

(35)「ベルリン・フィルの一員」となった電子オルガン……カラヤン&ベルリン・フィル公演Ⅲ

1979年の普門館でのカラヤン指揮、ベルリン・フィル公演の写真(撮影日不明)=立正佼成会提供

 1979年10月16日、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の普門館(東京都杉並区)での公演初日、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」で、日本の電子オルガンがベルリン・フィルと「競演」し、パイプオルガンに劣らぬ迫力ある響きで注目を集めた。

 使用された楽器は松下電器産業(現パナソニック)が開発した日本初のデジタルオルガン「ナショナル電子オルガン・テクニトーンDO-100」だ。同社が楽器業界に参入したのは戦後まもない頃で、名古屋のピアノ製造業者の再建を引き受けたのがきっかけだったという。「ナショナル楽器」を設立しピアノ販売からスタートしたが、やがて得意の電機技術を生かした電子オルガンの研究が始まった。63年に社内に「電子楽器部」が発足し、同社初の電子オルガンが販売されている。68年には直轄販売会社「ナショナル電子オルガン」を設立。73年には松下電器産業の重要プロジェクトの一つとしてデジタルオルガンの開発が位置づけられ、プロジェクトチームが結成され、74年11月、日本初のデジタルオルガン「DO-100」(1号機)の制作発表が行われた。さらに76年5月には、シンセサイザーや磁気カードによる音色の記憶再生装置を備えた演奏会用の2号機を発表している(金銅英二「日本初のデジタルオルガン:ナショナル・テクニトーンDO-100」=日本電子キーボード学会編「電子キーボード音楽研究」2013年8月号)。79年の普門館公演で使用されたのはこの2号機で、前述の「ツァラトゥストラはかく語りき」の他、ムソルグスキー(ラヴェル編曲)の組曲「展覧会の絵」(19日)、ハイドンのオラトリオ「天地創造」(22日)、ブルックナーの「テ・デウム」(25日)でも使用された。

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