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余録

どんぴしゃり、ゴロピカリ…

 どんぴしゃり、ゴロピカリ、てんこもり、どんとこい、森のくまさん。これらが何かわかるだろうか。みんな米の名前である。都道府県が開発した米の奨励品種は約250種類もある▲このような米の多様性をもたらしたのは1952年に制定された種子法だ。主食の安定供給をする重要性から、米や麦、大豆の遺伝子資源を守ることを国の責務とした。都道府県の農業試験場はその地域に合う品種の研究開発を進め、奨励品種を指定して普及を図ってきた▲その種子法が、本日をもって廃止された。政府の規制改革推進会議で提案され、昨年の通常国会で廃止の法案が可決された。「共謀罪」の審議の陰で、米や麦の種子の法案についてはほとんど話題にならなかった▲生産技術が向上して種子の品質が安定し、種子法の役割は終わったと政府は説明する。戦略物資である種子の多様なニーズに応えるには民間企業の参入が必要ともいう。公的機関が民間の品種開発意欲を阻害しているとの見方もある▲しかし、農業試験場の予算や研究体制が縮小することを懸念する農家や研究者は多い。多額の税金を投入して培った知的財産が民間企業を通して流出し、外国企業による種子独占を招く危険性も指摘される▲縄文時代にイネは中国や朝鮮半島から伝わったとされる。花の咲く時期や茎の長さで区別して「品種」にしたのは平安時代だ。長い歳月をかけて米の生産技術や文化は継承されてきた。そうして得られた多様性である。失いたくはない。

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