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たたなづく

映画監督の河瀬直美さんが時代や世界、人々のつながりに思いをはせます。

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たたなづく

アジアで考えた 次にある豊かさ=河瀬直美

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マレーシア国際映画祭のみなさんと。右から3人目が河瀬直美さん=河瀬さん提供
マレーシア国際映画祭のみなさんと。右から3人目が河瀬直美さん=河瀬さん提供

 マレーシア国際映画祭に審査員として招かれた。カンヌですれ違ったディレクターは私と同じ年齢くらいの女性で、聞くと資金集めから開催に伴うさまざまなことを一手に担っているという。審査員は7人。3人が女性、4人が男性。監督、女優、プロデューサーという職種の人が、アジアを中心に集結。審査委員長はフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督だ。カンヌでの受賞歴などがあり、フィリピンを拠点にして、世界で活躍する。他にも「青いパパイヤの香り」でカメラドール(カンヌにおける新人監督賞)を私より4年早い1993年に受賞したトラン・アン・ユン監督など、そうそうたる顔ぶれだ。正直、まだ2回目の映画祭のために新作の仕上げ作業が佳境のこの時期にマレーシアへ行くのはリスクがあった。が、アジアの新しい才能を発見する旅には興味があった。また、かねて親交を深めたかった先出のメンドーサ監督とトラン監督との出会いに期待した。

 マレーシアは初めて訪れる。直行便も飛んでいるが、トランジット1時間のシンガポールを経由して行った方が、渡航前後のスケジュールに無理がなかった。日本はまだ寒い時期に30度を超える地域へ行くのは体の負担を考えるといつも以上に気をつけなければいけない。わたしはいつも旅のお供に「梅エキス」というものをかばんに忍ばせておく。これは青梅を煮詰めた粘りのある液体なのだが、乾燥からくる喉の乾きと免疫が落ちること…

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