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「亡命」韓国人・鄭敬謨さん 93歳 祖国に春は来ますか? 朝鮮半島統一に生涯ささげ

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「わが民族はひとつ。統一の春は来るよ」と自宅の庭で語る鄭敬謨さん=横浜市で、鈴木琢磨撮影
「わが民族はひとつ。統一の春は来るよ」と自宅の庭で語る鄭敬謨さん=横浜市で、鈴木琢磨撮影

 歴史が動く瞬間がある。いまがそのときなのかもしれない。どうしても会いたい人がいた。鄭敬謨(チョンギョンモ)さん。93歳。遠く日本の地で、分断された朝鮮半島の統一に生涯をささげてきた「亡命」韓国人である。祖国に春は来ますか?【鈴木琢磨】

 「いいニュースだ」。3月27日の昼下がり、横浜市にある鄭さん宅を久しぶりに訪ねると、サンタクロースのごとき白いヒゲをなで、そう言った。モスグリーンの北朝鮮の特別列車が北京にやってきていた。乗っていた要人が誰なのかまだ公式発表はなかったが、タイミングからして金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に違いないと、鄭さんはにらんでいた。「留学してヨーロッパの空気を吸った若い指導者ですよ。このままではやっていけないことはよくわかっている。そのためにまず中国との友好関係を確立しておこうとしたんだ」

 1970年、時の韓国・朴正熙(パクチョンヒ)政権から逃れ、日本で祖国の民主化運動に身を投じた鄭さんは南北朝鮮現代史の生き証人と呼ぶにふさわしい。24年、日本統治下のソウルに生まれ、慶応大医学部予科を修了し、戦後は米国に留学。50年に朝鮮戦争が勃発するや、米国防総省職員となり、板門店での休戦会談の通訳を務めた。回顧録「歴史の不寝(ねずの)番(ばん)」(藤原書店)にある。

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