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第103回全国高校野球選手権

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第90回選抜高校野球

花巻東、最後まで全力 9年ぶり8強に大きな拍手 /岩手

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 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第10日の1日、花巻東は準々決勝で前回覇者の大阪桐蔭(大阪)と対戦した。先発した左のエース・田中大樹投手(3年)や2番手の右腕・西舘勇陽(ゆうひ)投手(2年)が打ち込まれ、序盤で大量失点。総力戦で反撃の突破口を開こうとしたが、0-19で完敗した。それでもスタンドからは、9年ぶりのセンバツ8強入りを果たしたナインに大きな拍手が送られた。【三瓶杜萌、中村紬葵】


 ▽準々決勝

花巻東  000000000=0

大阪桐蔭 45023023×=19

 初回の攻撃。相手の最速148キロ右腕、柿木蓮投手(3年)の立ち上がりを打線が捉える。甲子園初出場の1番・中森至中堅手(2年)が左前打で出塁。2番・谷直哉遊撃手(3年)も左前打で続いた。二塁走者が飛び出して1死となったが、持ち前の機動力も生かして二、三塁と先制の好機に。しかし4、5番が連続三振に仕留められ、試合の流れを引き寄せられなかった。対戦校のデータ収集を担当した野球部員の工藤永致(とおち)さん(3年)は「まだまだこれから。打線がつながることを信じて待ちたい」とメガホンを握りしめた。

 だが一回裏。初戦で好投した田中投手に、大阪桐蔭打線が襲いかかる。先頭打者を四球で出すと、すぐさま送りバントを決められ、3長短打とスクイズなどで4点を献上。花巻東がしたかった野球を相手にされてしまう。田中投手も「どこに投げればいいか分からなくなってしまった」。

 2番手で甲子園初登板した西舘投手も得意の変化球が決まらず、投球に緩急が付けられない。6安打を浴びて7失点し、四回途中でマウンドを降りた。後を託されたのは、3回戦で彦根東(滋賀)を無失点に抑えた伊藤翼投手(3年)。だが田中投手と交互に投げるも、相手打線の勢いを止められなかった。伊藤投手の父誠輝さん(42)は「ここまで来たら、相手の胸を借りるつもりでやりきってほしい」と声援を送り続けた。

 19点差で迎えた九回表。1死から4番・紺野留斗左翼手(3年)が左前打で塁に出た。三塁側アルプススタンドからは、「あまちゃん」のテーマに合わせ「行け! 押せ!」の大声援。最後の打者が内野ゴロに打ち取られた後も、ナインに対する「ありがとう」の声があちこちから上がった。

 マネジャーの佐々木杏さん(3年)は「とにかく悔しいが、ここまで頑張った選手たちに感謝を伝えたい」と涙を浮かべて語った。


 ■白球を追って

 「夏までに攻守磨く」 花巻東・3年 菅原颯太主将

 19点差を追う九回表2死一塁。全員の思いを背負って代打に立った。「最後の一球まで諦めない」。真ん中に来た球を振り抜くと、鋭い打球が飛んだ。「行った」と思ったのもつかの間、遊撃手の好守に阻まれ、試合終了のサイレンが響いた。

 昨年5月に右腰椎(ようつい)を疲労骨折。本格的な練習を約3カ月間できず、主将になった現チームで長く先発メンバーに入れなかった。昨秋の公式戦後、メンバー入りを目指そうと、控えの捕手から内野手に転向した。

 この冬は「自分の失策でチームを負けさせるわけにはいかない」と守備を猛練習。足の運びや打球を判断するポイントを学ぶため、守備のうまい谷直哉遊撃手(3年)に頼み、毎朝約200球の捕球練習を一緒にしてもらった。その熱意を認められ、センバツで先発メンバー入りを果たした。

 この日は控えからのスタート。「自分がなんとかしたかったが、(力が)届かなかった。夏までに守備も打撃も磨きたい」。涙が次々とこぼれ落ちた。【三瓶杜萌】

花巻市長も大声援

 ○…花巻東の三塁側アルプススタンドには強豪・大阪桐蔭に挑むナインの活躍を見届けようと、上田東一花巻市長(63)が応援に駆け付けた。大谷翔平選手(現米大リーグ・エンゼルス)擁するチームが初戦で敗れた、2012年センバツの大阪桐蔭戦も甲子園で見守ったという上田市長。「先輩の分も後輩たちに頑張ってほしい」と気合が入り、選手が出塁したり、好機が訪れたりするたびに大きな声援を送っていた。

父母の千羽鶴も

 ○…アルプス席の横断幕近くでは、野球部の父母の会が作った千羽鶴が選手たちの雄姿を見守った。例年は夏の大会前に作るが、今年はセンバツに合わせて製作。チームのスローガン「繋(つなぐ)」を刺しゅうした大きな野球ボールも付けられた。マネジャーの石川涼風(すずか)さん(2年)は「離れていても(保護者に)支えてもらっていることを感じられる」。父母の会事務局幹事の高橋和輝さん(44)は「諦めず一人一人つないで」と声援を送り続けた。

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