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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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第90回選抜高校野球

4強 東海大相模、守り勝ち 日本航空石川降す 主軸・森下に待望の適時打 /神奈川

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 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 第90回記念選抜高校野球大会は第10日の1日、準々決勝に臨んだ東海大相模が日本航空石川(石川)を3-1で降し、4強入りを決めた。初回に小松勇輝主将(3年)の先頭打者本塁打で先制。強打を誇るチームを相手に守備の好プレーからリズムをつくり、終盤には主軸の森下翔太(3年)に今大会初となる待望の適時打も生まれ、手に汗握る接戦を制した。

 2日は休養日で、準決勝は3日の第1試合(午前11時開始予定)、智弁和歌山(和歌山)と対戦する。【中村紬葵、三瓶杜萌】

 △準々決勝

日本航空石川

  000100000=1

  10000101×=3

東海大相模

 1点リードの八回裏、2死一、二塁。打席に立ったのは3番、森下。昨秋の大会で打率5割超、24打点をたたき出したが、今大会はまだ打点が無い。「肩の力を抜け」。ネクストバッターズサークルから上杉龍平(3年)の声が飛ぶ。「とにかくリラックスしようと思った」という森下は3球目、見送った初球と同じような外角直球にバットを振り抜いた。「抜けろ!」。心の中で強く念じた打球は三遊間を破る適時打に。二塁走者が生還するのを見届けて右手を握った。「チームに迷惑をかけていたのでよかった」

 快勝した2、3回戦とはうって変わり、この日は序盤から息詰まる展開が続く。初回に小松主将の本塁打で先制するも、三回には1死三塁の好機を生かせない。四回に先発の野口裕斗投手(2年)が相手打線につかまる。

 四球と安打で1死一、三塁とされ、続く打者の打球は右中間フェンス際へ。三塁走者が生還し同点、一塁走者も本塁へ突っ込んだが、外野手からの中継に入った二塁手の山田拓也(3年)の好返球で勝ち越しを許さなかった。「送球がホームベースからそれていたら2点目が入っていた。防いだのは大きい」。応援団の最前列で部員の小笠原雄介さん(2年)は興奮した様子でメガホンをたたいた。

 五回途中からはエース、斎藤礼二投手(3年)へと継投。「礼二さん、がんばれ!」。スタンドから声援が飛ぶ。ベンチから伝令が送られマウンドに内野手が集まり、「攻めていこう。ここを乗り切ればチャンスが来る」と確認。2死満塁のピンチで、次の打者を三ゴロに打ち取った。六回の1死一塁の場面では、内野ゴロで二塁のベースカバーに入った遊撃手の小松主将が、走者と交錯し倒れ込みながら一塁に送球。併殺は取れなかったが「守備からリズムをつくりたかった」と気迫を見せた。

 直後の六回裏、打線が応える。「野口が強打の相手打線を1点に抑えてくれた」。捕手の9番、佐藤暖起(3年)がバントで全力疾走し、出塁。2番、山田の適時二塁打で1点を勝ち越すと、吹奏楽部員たちもハイタッチで盛り上がった。

 そして迎えた八回裏、2死二塁の好機。「なんとか森下につなげたかった」という山田が追い込まれながらもファウルで粘って四球を選び、続く森下に待望の打点が生まれた。声をからして応援していた森下の母ゆりさん(46)は、首にかけたタオルでにじんだ涙を拭った。

女子応援団声響く

 ○…「そーれ! 大きな声で森下!」。追加点の好機を迎えた八回裏、一塁側アルプススタンドには低く通る女子生徒の声が響いた。白いトレーナーにスラックス姿の応援団員だ。2015年を最後に男子生徒の入団が途絶え、今は女子6人で活動している。伝統の低く大きい声での応援を継承するため、週3日の発声練習に力を入れてきた。宮城涼香(すずか)団長は「野球部の男子に負けない声で選手の力になる応援をしたい」と声を張り上げていた。

「勝てる選手になりたい」 梶山燿平右翼手(3年)

 1点を勝ち越した後の七回裏。先頭打者として打席に入り、たたきつけた打球で必死に走って内野安打で出塁した。次の打者の2球目にヒットエンドランのサインを受けると、一塁から勢いよくスタートを切った。

 昨秋の大会は1桁の背番号をもらいながら出場機会が少なかった。甲子園のメンバー登録があってからも「1桁だからといって、試合に出られるかはわからない」。常に危機感を口にしながら、練習に取り組んできた。

 迎えた今大会は初戦から準々決勝の3試合すべてでスタメンに名を連ね、フル出場を果たしたが、わずか2安打と持ち味の打撃力がふるわない。それでもチームトップの4盗塁を決めてかき回し、3度本塁を踏んだ。

 50メートル走のタイムは6秒台の中盤。決して足が速いわけではない。「自分の成績よりチームが勝てればいい。なんとか貢献したかった」。七回裏の走塁も気持ちで走った。打者が空振りし、捕手から二塁への送球でタッチアウトになったが「攻めた結果」と前を向く。

 2日に誕生日を迎える。「厳しい試合だったが勝ったからこそ次も試合ができる。まだまだこれから。勝つことが大事。勝てる選手になりたい」。18歳での初戦となる準決勝の勝利を誓った。【中村紬葵】

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