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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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第90回選抜高校野球

準々決勝 4強に肉薄、粘った2校 星稜、終盤に猛追/航空石川、みせた底力 /石川

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アルプス席へあいさつに向かう星稜の選手たち=阪神甲子園球場で、森園道子撮影 拡大
アルプス席へあいさつに向かう星稜の選手たち=阪神甲子園球場で、森園道子撮影
アルプス席にあいさつを終えて、引き揚げる日本航空石川の選手たち=阪神甲子園球場で、渡部直樹撮影 拡大
アルプス席にあいさつを終えて、引き揚げる日本航空石川の選手たち=阪神甲子園球場で、渡部直樹撮影

 <センバツ2018>

 躍進もここまで-。第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は第10日の1日、県勢史上最高の4強を目指した2校が涙をのんだ。

 第1試合に臨んだ日本航空石川は、優勝候補の東海大相模(神奈川)に1-3で敗戦。先発の杉本壮志投手(3年)は8回3失点と粘りの投球を見せたが、打線が中盤以降につながらず援護できなかった。

 星稜は第4試合で三重(三重)に9-14で敗れた。両チーム計26安打の乱打戦になったが、序盤で先発の竹谷理央主将(3年)を攻略した三重の猛打に圧倒された。

 最後まで全力プレーを見せた両校に、アルプス席からは惜しみない拍手が送られた。【日向梓、岩壁峻、加藤佑輔、今野悠貴】


三重

  034000205=14

  022001130=9

星稜

星稜終盤に猛追 9-14、緊迫の打撃戦

東海大相模戦の九回表2死、代打で打席に立つ小坂敏輝選手=阪神甲子園球場で、猪飼健史撮影 拡大
東海大相模戦の九回表2死、代打で打席に立つ小坂敏輝選手=阪神甲子園球場で、猪飼健史撮影

 終盤の追い上げは「逆転の星稜」の本領発揮かと思われたが、最後の最後で三重との打ち合いに屈した。

 初戦の2回戦から3試合連続で、竹谷理央主将(3年)が先発のマウンドに上がった。「集中して試合に臨めている。私もワクワクしています」。米国出身の父スティーブンさん(50)も、興奮を抑えきれない様子。ただ4強をかけた試合に気負ったか、竹谷主将は序盤から制球が定まらない。2四球と安打で満塁になった一回こそ無失点で切り抜けたものの、二回に2ランを浴びるなどして3点を先取された。

 祖父のミドルネームという「LEO(ラテン語でライオン)」から付けられた、理央の名。この日はたけだけしい姿を見せられず、竹谷主将は満塁になった三回1死で降板。奥川恭伸投手(2年)に後を託した。

 大舞台で躍動する息子たちの姿を、家族はやきもきしながら見守った。二回に2点適時二塁打を放った東海林航介選手(2年)が右翼に就くのは「小学5年生以来だと思う」と父幸男さん(52)。肘のケガもあり、外野守備は極力避けていた。この日は一塁、二塁、再び右翼とめまぐるしく代わったが、そつなく役目を果たした。

 突き放されても、何とか食らいつく。今大会のチームを象徴する粘り強さを随所に見せた。六回からは3回連続で得点。7-9の八回には右翼の守備に回っていた奥川投手が2死満塁から2点適時打を放ち、ついに9-9の同点に追いついた。

 3回戦では試合を決める適時二塁打を放ち、試合後に涙を浮かべた奥川投手。父隆さん(51)は、「しんどかったんだと思う」と下級生ながら投打で軸になりつつある息子の重圧を思いやった。「球が走っていなかった」と隆さんが言うように、三回の交代直後は失点を重ねたが、七回まで何とか踏ん張り、九回には再びマウンドに立つなど、大車輪の働きぶりだった。

 緊迫した戦いは九回に一挙5点を奪われたことで、大勢が決した。最後は力尽きたが、初のセンバツ4強に肉薄した選手たちは、再びはい上がる決意を胸に秘め、グラウンドを後にした。

航空石川に勝って夏挑戦 鯰田啓介選手(3年)

三重戦の二回に内野安打を放つ星稜の鯰田啓介選手=阪神甲子園球場で、山崎一輝撮影 拡大
三重戦の二回に内野安打を放つ星稜の鯰田啓介選手=阪神甲子園球場で、山崎一輝撮影

 「あいつより先に負けて甲子園から帰るわけにいかない」。3回戦で逆転サヨナラ3ランを放った日本航空石川の原田竜聖選手(3年)とは、中学時代からの友人。学校やチームは違ったが、試合などでよく顔を合わせ、「良いバッター」と認める。高校入学後も折に触れて連絡を取り合ってきた。

 昨夏の石川大会準決勝で、星稜は延長十一回の熱戦の末、日本航空石川に逆転負けを喫した。「あんなに悔しい思いをしたことはない」。一方で、友達として原田選手には甲子園で活躍してほしいという思いもあった。「頑張れよ」とメッセージを送ると「ありがとう」と返ってきた。

 県勢2校出場を果たしたセンバツでは、決勝まで当たらない組み合わせ。「戦ってみたい。そのためには勝たないと」。同じ舞台で戦うライバルの姿が励みになった。

 準々決勝のこの日、第1試合で日本航空石川が敗退。「原田たちの分も勝ってベスト4へ」と試合開始を待った。試合は打撃戦に。4点を追う七回裏2死二塁、「投手を助けたい」と中前打を放ち1点をもぎ取る。5点を追加された九回表2死二、三塁では、センター方向へ伸びた打球を必死に追いかけ、さらなる追加点を阻んだ。

 2時間31分にわたる熱戦を終え、「大事なところで1本出るか、普通のボールをさばけるか。その差で負けた。基本からやりなおして、日本航空石川に勝って夏に戻ってくる」と前を向いた。【日向梓】

OB馳氏「気合だ」

母校・星稜の活躍を見届けに来た馳浩氏=阪神甲子園球場で、岩壁峻撮影 拡大
母校・星稜の活躍を見届けに来た馳浩氏=阪神甲子園球場で、岩壁峻撮影

 ○…星稜の活躍を見届けようと、アルプス席には同校OBの馳浩・元文部科学相が駆けつけた。3回戦のサヨナラ勝ちを金沢市内でテレビ観戦し、いても立ってもいられなかったという。学校関係者とスタンドで肩を寄せ合い、「こうやって応援するのが楽しいんだよね」と笑顔。決戦に臨む選手に「気合だ!」とエールを送った。


日本航空石川

  000100000=1

  10000101×=3

東海大相模

航空石川、みせた底力 1-3、快進撃に応援団敬礼

 テンポの良い投手戦を象徴するように、試合は1時間57分で終了した。日本航空石川は少ない好機をものにできず、「打ち合いになる」という予測が外れたことも尾を引き、4強を逃した。

 三塁側アルプス席に陣取った約1900人の応援団が校歌を響かせる中、先発の杉本壮志投手(3年)に一回、いきなり試練が訪れた。東海大相模の先頭打者にフルカウントから浴びたのは、右中間へのソロ本塁打。その後、応援団は背番号10を鼓舞しようと、杉本投手がストライクを取るたびに「いいぞ」「頑張れ壮志」とメガホンを打ち鳴らした。父秀也さん(44)は「点を取られるのは見慣れてるけど、甲子園では嫌ですね」と心配そうにマウンドを見つめた。

 四回1死一、三塁で打席に立った長谷川拳伸選手(3年)は「前の試合では良いところがなかった」と期するところがあった。追い込まれてからの6球目を仕留め、右中間への適時二塁打で1-1の同点に。一塁走者の上田優弥選手(同)も本塁を狙ったが、タッチアウトされ、逆転を逃した。それでも、長谷川選手の父伸治さん(49)は「(この日は)行けると思った。良かった」とほっとしたように笑った。

 五回に杉本投手が2死から二塁打を放つと、2連続四球で満塁になったが、後続が倒れ無得点。一方で、好投を続けていた杉本投手は六回に適時二塁打を浴び、勝ち越された。それでも、アルプス席の士気は下がらない。チアリーダーの中村涼香さん(3年)は「このチームには粘り強さがある」と息の合ったダンスでエールを送った。

 1-3の九回表。アルプス席で声をからした野球部の柴田隼飛(はやと)部員(3年)は「全国制覇できるチームと信じている」と祈った。2死走者なしで小坂敏輝主将(3年)が代打に立つ。「行け行け敏輝」と悲鳴のような声援。だが、中堅への打球はもう一伸びが足りなかった。

 試合後、アルプス席前に整列した選手たちを、応援団は敬礼で迎えた。目標の「日本一」には届かなかったが、快進撃を続けたナインをたたえる声はやまなかった。

仲間支え、時に発破かけ 小坂敏輝主将(3年)

 背番号13。控えとして仲間の活躍を支えた今大会、3度目の打席は2点を追う九回表に巡ってきた。1死を取られたタイミングで、中村隆監督から「行け」と一言。背中に「つなげ」「落ち着いて」の声を受け、2死走者なしの打席に立った。

 能美市立根上中出身。「キャプテンとして来てくれ」という中村監督の言葉で入学を決意した。しかし、主将を任された新チーム移行後は調子が上がらず、秋の県大会ではチームが勝ち上がるのをベンチから見詰めた。北信越大会初優勝を果たして両親から祝福され、思わず口をついた。「俺出てないけど」。しかし両親は「出てなくてもチームに貢献できている。気にせず頑張れ」と励ましてくれた。気持ちが楽になった。

 「センバツ当確」と目され迎えた今冬、チームには緩みが出始めた。「嫌われたくない」と思いながら「このままじゃ初戦負けやぞ」と発破をかけたが、響かない。どうすればいいのか。年明け、悩みをぶつけるように、墨で大書した。新チーム最初のミーティングで決めたキーワード「頂天」。仲間は「いいじゃん」とほめてくれた。センバツ出場が決まり、チームの士気も徐々に上がった。

 この日の試合後、「監督の期待に応えられなかった」と一粒、涙をこぼした。しかし中村監督は「本当によく頑張ってくれた。夏もまた、あいつと一緒に戻ってきたい」と目を細める。172センチの背中で、持ち越した目標「日本一」へと仲間たちを引っ張る。【日向梓】

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