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第103回全国高校野球選手権

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飛翔・創成館

’18センバツ 延長惜敗に惜しみない拍手 「球ギワの執念」に恥じず /長崎

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 <第90回選抜高校野球>

 第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第10日の1日の準々決勝で、県勢の創成館は、延長戦にもつれこむ大接戦の末、智弁和歌山に10-11でサヨナラで惜敗した。4年ぶり3回目での悲願のセンバツ初勝利から、8強へと躍進した創成館の春が終わった。チームのスローガン「球ギワの執念」を胸に、最後までひたむきな全力プレーを見せたナインたちに、アルプス席から惜しみない拍手が送られた。【今野悠貴、畠山哲郎】

 ▽準々決勝

創成館

  3011202001=10

  0110401022=11

智弁和歌山

 (延長十回)

 投手戦で勝ち抜いててきたこれまでの試合から一転、今大会で組み替えた打線が威力を発揮した。創成館が先制し、智弁和歌山が追うゲームは、両チーム計30安打の乱打戦となった。初回表、深見直人選手(2年)が大会初の適時打を放って4番の仕事を果たすと、昨秋けがで涙をのんだ鳥飼悠斗選手(3年)も続き、3点を先制。深見選手の父憲也さん(59)は「やきもきしていたが、やってくれると信じていた」と胸をなで下ろした。

 一方で智弁和歌山の打線も勢いづく。先発の戸田達也投手(3年)から伊藤大和投手(3年)、主戦・川原陸投手(3年)へと継投して、粘りの投球を見せるも、五回の時点で7-6に追い上げられた。マネジャーの山本愛華さん(2年)は「勝って」と祈った。

 七回表、スタンドは再び歓喜に包まれる。野口恭佑選手(3年)が2点適時打を中前へ運ぶと、父峰誠さん(43)は「信じられない活躍」と目を細めた。

 九回裏に同点に追いつかれ、延長戦へ。十回表、ベンチやアルプス席の願いを背負う鳥飼選手がしぶとい犠飛で勝ち越すと、「創成館」コールが渦巻いた。だが4人目の酒井駿輔投手(3年)がサヨナラ打を浴び、激戦に終止符が打たれた。

 静まり返り、ぼうぜんとする応援団。だが、全員野球を展開したナインがグラウンドから一礼すると、スタンドからは盛んな拍手が起こり「よくやった」「いい試合だった」と声援が送られた。創成館の春は終わったが、吹奏楽部の東法貴(ひがしのりたか)さん(3年)は「夏に頑張ってほしい。次も全力で応援します」と力を込めた。

無言のエール送る

 ○…創成館の応援席の最上段には、グラウンドのナインに「無言のエール」を送る生徒たちがいた。巨大な応援旗を持つ、同校のバスケットボール部の小峰魁太主将(3年)ら3人。甲子園に強い浜風が吹きつける中、「絶対に旗は降ろしません」と力を込め、真剣なまなざしでチームの奮闘を見守っていた。

スタンドから兄を鼓舞

 ○…アルプス席の最前列で、野球部員に混じって赤いメガホンを振った「ちびっ子応援団長」は、藤優璃選手(3年)の弟、稀琉(きりゅう)さん(9)。創成館の金文字が輝くTシャツを着て、「ソーセー!」「ナガサキ!」と叫び、応援歌に合わせた完璧な振り付けも披露した。自身も少年野球で、白球を追っている。「お兄ちゃん頑張って」と、この日はバットではなくメガホンをふり続け、目は真っ赤にさせて声を枯らした。


 ■青春譜

夏へ奮起「5番目」返上を 酒井駿輔投手=3年

 試合終了のサイレンが鳴ると、肩を震わせて泣いた。延長十回裏2死一、二塁のマウンド。「大丈夫だ」と念じ、今冬から取り組んできた自信のチェンジアップを投じたが、サヨナラ打を許した。その直前にチームがもぎ取った、勝ち越しの1点を守れなかった。「申し訳ない」と涙を流した。

 どん底からはい上がってきた。昨秋の公式戦の最中、体育の授業で左膝を骨折し、戦線離脱。チームは明治神宮大会を準優勝し、その原動力となった4人の投手陣は脚光を浴びた。素直に喜べず、気持ちが沈んだ。しかし監督から「投げ出したらいかん」と言葉をかけられ、黙々と練習に打ち込み、背番号17を勝ち取った。

 30日の智弁学園(奈良)戦。試合前、相手の指揮官は「創成館の4人の投手はてごわい」と評した。「5人目もいるところを見せたい」と奮起。試合ではチェンジアップや変化球を駆使し、相手のバットに空を切らせた。

 そして智弁和歌山戦。9-7と追い上げられた九回、監督に「全力で行け」と送り出されたが、役割を果たせなかった。必ず夏の甲子園に戻ってくるつもりだ。「崖っ縁だった自分を使ってくれた監督への恩返しができていない」。もう誰にも「5番目の男」とは呼ばせない。【今野悠貴】

〔長崎版〕

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