学校教育法で併設が義務付けられている特別支援学校の寄宿舎が、全国的に減少している。特に東京都は2007年の10舎から5舎に半減した。ひとり親や貧困など困難な条件で子育てする保護者らは、寄宿舎の存続を求めている。
寄宿舎は特別支援学校の敷地内や病院に設置され、指導員が食事や入浴などの生活支援や発達支援を担う。1974年の改正学校教育法で併設が義務化されたが、文部科学省によると、設けるかどうかは地域の実情に応じて学校設置者が判断している。毎日新聞の全国調査では、国公立の設置率は07年に33%だったが、17年には27%まで下がった。また、この10年で寄宿舎を減らしたのは14都道県で、増やしたのは4県だった。
東京都は04年に寄宿舎の段階的廃止を決めた。入舎の基準を「通学困難」に限定し、「家庭の事情」「教育上の必要」を削除して門戸を狭くした。都教委は「スクールバスを増やし、通学の利便性は向上した」と説明する。
一方、山梨県は15年に県立高等支援学校桃花台学園に定員16人の寄宿舎を新設した。17年度は、軽度の障害がある生徒14人が平日、親元を離れて過ごした。女子は空きがあるが、男子は希望者15人のうち5人が入れず、通学時間が片道110分を超える生徒も入舎できないほどの需要があった。
寄宿舎指導員の経験がある小野川文子・名寄市立大准教授(特別支援教育)は、小中学校で心身症や精神疾患、不登校となった子どもが病弱特別支援学校に転入するケースが増えていると指摘。「背景に貧困や育児放棄の問題があるケースが少なくない。ひとり親で子どもの世話に手が回らない家庭の子の発達を保障する場として寄宿舎の役割は大きい」と力説する。小野川准教授が昨年6~8月、北海道内の寄宿舎を利用する保護者313人から回答を得たアンケートでは、ひとり親家庭が3割を占め、6割が経済的困難を抱えていることが分かった。
寄宿舎存続を求める保護者や指導員らは昨年11月、東京都内の街頭で署名活動をした。視覚障害がある男子生徒(15)は、特別支援学校のスクールバス乗り場へ行くのに満員電車を乗り継ぎ、1時間ほどかけて通学している。突き飛ばされ大変な目に遭ったこともあるという。母親は「寄宿舎があれば安全に通学でき、放課後の遊び相手もいる。メリットしかありません」と訴えた。【坂根真理、上東麻子】



