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余録

日本初の自動車事故は交番に突っ込みそうになり…

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 日本初の自動車事故は交番に突っ込みそうになり、ハンドルを切ったら皇居のお堀へ転落する派手なものだった。1900(明治33)年、車は米国の日系移民からの皇太子(後の大正天皇)への献納品であった▲試運転中の事故で公用車としてはお蔵入りになる。ただ修理後に御前での運転披露は行われ、よほど慎重に運転されたらしい。皇太子の感想は「自動車とはことの外速度の遅きものである」だった(富田仁(とみた・ひとし)著「舶来事物起源事典」)▲この車、実は米国製の電気自動車だった。直流電流の充電に苦労したというエピソードもある。時代はひとめぐりし、電気自動車と自動運転とが自動車の技術開発の両輪となった21世紀だ。その開発競争の過熱に水をさす事故である▲米ウーバー社の自動運転車が試験走行中に歩行者をはねて死亡させたのに続き、今度は米電気自動車メーカー、テスラ社の車で半自動運転中に死亡事故が起こった。自動運転技術の安全性への疑念を大きくふくらませる事故の続発だ▲米国ではブレーキもない完全自動運転車の公道試験が来年にも始まるという。「人の運転よりはるかに安全」と技術的な目算に胸を張る開発サイドだ。だが人命が失われた厳粛な事実に鈍感では消費者の信頼はいつまでも得られまい▲未熟な技術の産物に事故があったら慎重に……は、別に明治の日本人の特技というのではない。人の命の重さと向き合い、安全への信頼を時間をかけて積み上げていかねば開けない自動運転の未来である。

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