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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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第90回選抜高校野球

記念シンポジウム “センバツ”新世紀へ(その2止)

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 <センバツ高校野球>

 ◆パネルディスカッション/2 地域への貢献

野球の楽しさ伝えて 茨城ゴールデンゴールズ監督兼選手・片岡安祐美さん

地元校出場が活力に 前日本文理高校野球部監督・大井道夫さん

 滝口 センバツでは2001年から21世紀枠を設けている。野球と地域の関わりや社会貢献についてご意見を。

 赤星 現役時代から車いすを施設に贈る活動や、中学生対象の硬式野球チーム「レッドスターベースボールクラブ」の運営・指導をしている。僕自身、野球を通じて多くの夢や感動をもらって成長してきたからこそ、少しでも多くの人に前向きになってもらいたいと活動を続けてきた。「レッドスターベースボールクラブ」では、技術以上に礼儀などを大事にしている。

 とにかく野球人口の減少に野球人として危機感を抱いている。僕は社会人野球も経験したが、社会人のチームも減り、野球を続けたくても続けられない人が増えている。

 野球をやっている人だけでなく、遊びとしての野球も大事。先ほども話したように、基本的に野球に限らずどの競技をやってもいいと思うが、やはり野球人として公園で野球ができないような現状は悲しい。そのためにも野球の理解者を増やすのが一番だ。プロ野球OBの僕だからこそ、子どもたちのためにできることもあると思うので、先頭に立ってやっていきたい。

 片岡 私たちの本拠地の茨城県稲敷市は人口約4万人。人口減少に悩む町で、特に若者が少ない。そんな中でチーム創設者の欽ちゃん(タレントの萩本欽一さん)がいなくなってからも変わらず温かく応援してくれる。社会人野球、特にクラブチームは練習場所の確保など、地域の方々の理解なしにやっていけない。

 社会人の日本野球連盟としても、ティーボール教室を各地で始めている。ボールを打つ楽しさ、ボールを捕る楽しさを感じ、まず野球を身近に感じてほしい。地域活性化にもつながればと思う。

 大井 新潟はもともと野球弱小県で、悔しい思いもした。地元の子が出場して活躍することで、応援も盛り上がるし、それが高校野球の魅力でもある。一方で、甲子園は目標であって、目的はあくまで人間形成。野球さえうまければいいというわけではない。新潟はサッカー人気が高く、サッカーは小中高の指導者の連携など見習うべき点も多い。

 大槻 総合型地域スポーツクラブで、子ども向けの体操教室や、高齢者向けの健康運動教室などに取り組んでいる。スポーツを中心としたつながりが地域に広がっていくのは素晴らしいと思う。ティーボールの活用など、工夫すれば野球ももっと可能性があると改めて感じた。

 ◆女子野球は今--

続けられる環境もっと/高いレベル ぜひ観戦を

 滝口 女子野球のプロリーグが発足したり、ワールドカップで日本が優勝したり、徐々に人気が高まっている。女子野球の盛り上がりは、今後の野球界全体にも良い影響を与えそうだ。

 片岡 私は9歳で野球を始めた。甲子園で奮闘する高校球児たちの姿を見て、自分もあそこに立ちたいと思ったのが原点だ。この約20年で、女子が野球できる環境はかなり整ってきた。女子野球部のある高校も増えた。しかし、女子サッカーなどに比べると、まだまだ少ない。クラブチームという選択肢もあるが限られる。

 特に現在の一番の課題が中学での女子野球だ。最近は小学生の野球チームで男女一緒にプレーしているのをよく見かけるが、結局その先の受け皿がなく、やめていったり、ソフトボールに転向したりする女子が多い。

 私自身を振り返っても、小学生の時は男子以上に活躍していたのに、中学になると体格差が大きくなり、一緒に練習するのはかなり厳しかった。野球をやりたいという女子中学生が続けられる環境を、さらに整えていく必要がある。

 赤星 女子野球を実際に見たことある人がまだ少ない。ぜひ一度行ってみてほしい。非常にレベルが高く、びっくりすると思う。将来的にもっとチーム数が増えて、甲子園で女子野球の全国大会ができるぐらいになればいいなと期待している。

 ◆パネルディスカッション/3 メッセージ

つながれるスポーツ 大阪産業大スポーツ健康学部教授・大槻伸吾さん

 滝口 最後に一言ずつ。

 片岡 私は高校野球のテレビ中継を見てルールも知らなかったが夢中になり野球を始め、その後も野球に育てられてきた。野球人口が減ってきているとはいえ、野球の魅力が減っているわけではない。プレーするだけでなく、応援団などさまざまな関わり方もあると思う。女子野球も含め、野球の明るい未来の発展に向け、自分もできることを発信していきたい。

 赤星 野球ができる環境づくりとともに、指導者のスキルアップも必要。以前と同じ指導では、今の子どもたちは納得できないことも多いだろう。僕自身、これから勉強しないといけないことがたくさんある。今後も野球の発展に携わっていきたい。

 大槻 研究者としては、現場の役に立つデータや新しい知見の提供を常に意識していきたい。ただ、それ以上に野球を通じて皆さんの輪がつながっていくことを支えていくことができればと感じている。

 大井 最近の若い人は表情に乏しいように感じる。しかし、野球では勝って喜び、負けて悔し涙を流すことができる。スポーツ全てでいえることだが大事なことだと思う。甲子園は心の古里として、多くの人のあこがれの地であり続けてほしい。

主催 毎日新聞社

後援 公益財団法人日本高等学校野球連盟/MBS


 ■人物略歴

かたおか・あゆみ

 1986年熊本県生まれ。中学3年から4年連続で女子野球日本代表に選出された。2005年に茨城ゴールデンゴールズに入団。11年に選手も兼任しながら、社会人チーム初の女性監督に就任し、14年には全日本クラブ野球選手権で優勝。タレントとしても、テレビやイベントなどで活躍中。


 ■人物略歴

おおい・みちお

 1941年栃木県生まれ。59年夏の甲子園でエースとして宇都宮工の準優勝に貢献。早稲田大、社会人野球などを経て、86年に日本文理(当時・新潟文理)野球部監督に就任。97年夏に甲子園初出場。2009年夏、準優勝を果たす。3年ぶり9回目の出場となった昨夏の大会後、退任。


 ■人物略歴

おおつき・しんご

 1959年生まれ。高知医科大学卒業後、国立大阪南病院などを経て、92年に大阪産業大学に転じ、現在はスポーツ健康学部教授。スポーツドクターとしてさまざまな競技に関わる。総合型地域スポーツクラブ「いきいき大東スポーツクラブ」の運営にも関わる。

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