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第93回センバツ高校野球

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第90回選抜高校野球

東海大相模、粘り届かず 延長十回、熱戦に拍手 /神奈川

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 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 第90回記念選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)は第11日の3日、7年ぶりの春の甲子園の決勝進出をかけて東海大相模が智弁和歌山(和歌山)との準決勝に臨み、延長十回の激闘の末、10-12で敗れた。初回に先頭からの3連続安打など見事な速攻を見せ、4点を先制。逆転された後も再逆転する粘りを見せたが、投手陣が相手の強力打線につかまった。優勝候補の一角として頂点を目指し、試合終了まで全力を尽くした選手たちに、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。【中村紬葵、三瓶杜萌】

 ▽準決勝

智弁和歌山

  0023001402=12

  4002400000=10

東海大相模

 (延長十回)

 2点を追う延長十回裏。1番・小松勇輝主将(3年)からの好打順だったが、2死一塁と追い詰められた。4番・上杉龍平(3年)が初球を振り抜いた打球は、青い空に高く舞い上がり、三塁手のグラブに収まった。ゲームセット。「タテジマ」は聖地での戦いを終えた。

 両チーム合わせて23安打の激しい乱打戦になった。初回、先頭打者の小松主将が左翼フェンス直撃の三塁打で出塁すると、続く2番・山田拓也(3年)の適時打で先制。さらに3番・森下翔太(3年)の安打と上杉の四球で無死満塁に。絶好の好機で打席に立ったのは、今大会ここまで2安打と振るわなかった梶山燿平(3年)。「とにかく食らいついていこうと思った」。体勢を崩されながらも右中間に運ぶ適時二塁打で3点を追加し、東海大相模らしい速攻を見せた。

 このまま流れを引き寄せるかと思いきや、先発した野口裕斗投手(2年)は三回に連続四球も絡んで2点を返されると、続く四回には4安打を集められて3失点で逆転を許す。2死二塁からエース、斎藤礼二投手(3年)に継投し、さらなる失点を防いだものの、野口投手は「持ち味の変化球を打たれてしまった。5回をもたずに申し訳ない」と唇をかんだ。

 ただこのままでは終わらない。「信頼できる先輩たちなので打ってくれると思う。気持ちを伝えられる応援をしたい」と部員の佐竹勇太郎さん(2年)。スタンドからは大きな声援が送られる。すると五回。「点を取ることしか考えていなかった」。渡辺健士郎(3年)が右翼ポール際に飛び込む2点本塁打を放つ。流れに乗りきれない展開の中での再逆転に、マネジャーの須川琴未さん(3年)は渡辺の母、敦子さん(51)と抱き合って、「『うれしい!』しか出てこない」と喜びを爆発させた。

 しかし終盤、斎藤投手が智弁和歌山の強力打線につかまってしまう。「これまでファウルや空振りになっていたような球をヒットにされてしまった」。八回に打者一巡の猛攻を受けて4点を失い、同点に追い付かれる。捕手の佐藤暖起(3年)は「ボール球にも対応してきて強振され、投げる球が無くなってしまった」。そして延長十回、犠飛で決勝点を奪われた。

 打線は一回途中から登板した相手エース、平田龍輝投手(3年)を打ち崩せず、七回以降はわずか1安打に抑え込まれた。「低めの球には手を出さず、浮いた球を狙おう」。試合前、チームでそう確認していた。ただ、後藤陸(3年)は「試合が進むにつれて徐々に球は浮いてきていたが、ミスショットが多かった」と、目を赤くしてつぶやいた。

 昨秋の各地方大会覇者との連戦を勝ち進んできた。斎藤投手は「打撃の強いチームを投手陣がどう抑えるか。課題を克服し、夏、甲子園に戻ってきたい」、小松主将は「打つことではなく塁に出るための打撃を鍛え直す」。言葉に力を込め、表情硬く聖地をあとにした。

背番号17から4番に 上杉龍平左翼手(3年)

 2点の勝ち越しを許した直後の延長十回裏、2死一塁の場面で打席に立った。「しゃー!」。一声叫んでバットを構え、初球を振り抜いた。打球は高く舞い上がり、三塁手のグラブへ。「チームの勝ちにつなげられるヒットを打てなくて申し訳ない」。目が潤んだ。

 東海大相模が全国制覇した2015年夏の甲子園を球場で観戦した。「このチームなら日本一の夢に近づける」。練習を見学に行き、スピードと力強さに圧倒され、「監督の熱意を感じた」という。地元静岡県の高校ではなく、親元を離れ、東海大相模への進学を決意した。

 強豪ひしめく神奈川県の中でも屈指のチームでは、「これまでやってきたことが全く通用しなかった」。1年生から活躍する選手を横目に「どうすれば追いつけるのか」と、焦れば焦るほどに調子を崩した。昨秋の地区予選以降は出場機会に恵まれず、後悔が募った。「高校最後の年にできることを全てやろう」。腹をくくり、一人になれる場所でバットを振り続けた。

 甲子園での背番号は「17」。それでも紅白戦で結果を残し、初戦から全試合に4番でスタメン出場した。この日の準決勝も二塁打を放ち、ベース上で小さく拳を握った。ただ最後の打者に。「悔いだけは残したくない。全てにおいて成長して必ず帰ってくる」。夢をかなえる夏へ、一歩ずつ進む。【中村紬葵】

夏VのOBエール

 ○…東海大相模の一塁側アルプススタンドに応援に駆け付けた川地星太朗さん(20)は、初回に一挙4得点した東海大相模ナインを懐かしい思いで見つめていた。川地さんは同校が優勝した2015年夏の甲子園で三塁手として活躍。その時の準決勝でも初回に4得点し、チームが掲げる「アグレッシブベースボール」を見せつけた。川地さんは「全ての回で攻め抜いて、自分たちの野球をしてほしい」とメガホンを握りしめエールを送った。

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