背景に事故の多さ 防止対策を綿密に
自転車の利用に関して定めた「県自転車条例」が1日、施行された。平地が多く雨が少ない県内で、「生活の足」として欠かせない自転車。条例施行で何が変わるのか? 気を付けたい点をまとめた。
なるほドリ 「県自転車条例」ってどんな条例なの?
記者 正式な条例名は「香川県自転車の安全利用に関する条例」です。昨年10月、全国で13番目、四国では愛媛、徳島に次ぐ3番目に制定されました。名称の通り、自転車の安全な使用について定めています。
Q 具体的にどんなことが書かれているの?
A 主に4点についてまとめられています。(1)自転車利用の順守事項(2)自転車点検整備の義務化(3)ヘルメット着用の促進(4)自転車損害保険などに加入する努力義務--です。
Q (1)の順守事項って具体的には?
A 主に三つあります。まず、「歩行者優先のための押し歩き」です。自転車の通行が認められている歩道でも、歩いている人の安全を優先する意識がなければ事故につながりかねません。人の往来が盛んな高松市中心部のアーケード街での押し歩きも、これにあたります。
Q 他の二つは?
A 「日没前のライト点灯」と「ながらスマホの禁止」です。手元のスマートフォンを操作しながら自転車に乗っている人をたまに見かけますよね。手元のスマホを見つめるあまり周囲への注意が散漫になってしまい、大事故につながる恐れがある危険な行為なんです。
Q (4)の自転車損害保険って、絶対に入らないといけないのかな?
A 「義務化」より強制力が弱い「努力義務」という表現を使っており、現時点では「加入を勧める」という意味です。ただ、既に施行されている12府県では半数が保険加入を義務づけています。県くらし安全安心課によると、兵庫県では自転車に乗っていた小学生男児が歩行中の女性と衝突し、約9500万円の損害賠償を命じられた事故をきっかけに、全国で初めて2015年に加入を義務化したそうです。
Q 自転車も惨事を招く「凶器」になり得るから、気をつけないといけないね。他に注意気すべきことはあるのかな?
A 該当する標識のある場所での一時停止▽左側通行▽むやみなベルの利用禁止--など、道路交通法で定められているルールはこれまでと変わりません。条例によって、自転車による事故の防止対策をさらに綿密にした形になります。
Q 条例に違反するとどうなるの?
A 条例自体に罰則はありませんが、条例の趣旨に反する利用は事故につながりかねません。道交法に違反した場合には罰則があります。
Q きちんと守らないといけないね。
A 香川県は10万人あたりの自転車事故件数が、11年まで7年連続全国ワースト1位、15年までの4年間はワースト2位でした。17年は8位と少し改善しましたが、条例制定はこうした事故の多さが背景にあるんです。県も条例施行を広く知ってもらおうと、安全利用に関するポスターやチラシを配布し、「これまで同様、気をつけて自転車を使ってほしい」と呼びかけています。<回答・山口桂子>