自民、公明両党のカジノを含む統合型リゾート(IR)に関するワーキングチーム(WT)は3日、カジノへの入場料を6000円とすることで合意した。日本人と国内居住の外国人が対象。これでカジノ規制の全容が固まり、政府は今月中にもIR実施法案を国会に提出する。
入場料を巡っては、政府原案の2000円に対し、ギャンブル依存症への懸念が強い公明党が「シンガポール並みの約8000円」への引き上げを主張。IRを観光の起爆剤にしようと図る自民側は引き上げを容認しつつも「過度の負担にならない水準」を主張し、上限として5000円を提示していた。
WTの自公幹部は3日、シンガポールと日本の1人当たりの国内総生産(GDP)の差を考慮した場合、同国の8000円は日本の5270円程度に相当すると記者団に説明。安倍晋三首相は「世界最高水準のカジノ規制を導入する」としてIR実施法案の成立を目指す方針で、首相の意向を踏まえて自公双方が歩み寄った。記者会見した自民党の岩屋毅衆院議員は「実質的にシンガポール以上の水準を確保した」と公明側への配慮も示した。
WTはこれまでに、認定区域数の上限は3カ所▽入場回数制限は週3回かつ月10回▽本人確認にマイナンバーカードを活用--などの規制で合意している。厳しい規制を主張する公明党に対し、法案の成立を優先して自民党の譲歩が目立つ形になった。
自民党の岸田文雄政調会長は会見で「今国会で成立させるべく全力で取り組まなければならない」と強調した。しかし野党は法案に反対する構えで、働き方改革関連法案とともに後半国会の焦点になるのは必至だ。【松倉佑輔、木下訓明】