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親ありて

柔道選手 阿部一二三さん、詩さんの両親 浩二さん、愛さん/上 二人三脚の特訓で根気強さ

阿部浩二さん(右)と愛さん=松本晃撮影

 2020年東京五輪で、そろって金メダルが期待される兄妹がいる。昨年8月の柔道の世界選手権男子66キロ級で初出場初優勝を飾った阿部一二三選手(20)=日体大=と女子52キロ級の妹、詩(うた)選手(17)=兵庫・夙川学院高=だ。「努力型」の一二三選手と「天才肌」の詩選手は、ともに豪快な投げ技で観客を魅了。一二三選手は父の浩二さん(48)の献身的な支えで徐々に強さを身につけ、詩選手は兄の背中を追った。

     小学生のときに競泳のバタフライで全国大会入賞を果たした浩二さんの次男、長女として誕生した。浩二さんは中学入学後、体格差の壁を感じ、活躍できなかったことから、息子の一二三選手には階級別の競技をやってほしかった。母の愛さん(46)は「プラレールも、回っているのを楽しむのではなく、破壊して遊んでいた。パワーがあり余って何かさせた方がいい」と感じていた。

    小学生の頃の一二三選手(左)=両親提供

     6歳で柔道を始めた。きっかけは「テレビで見てかっこよかったから」。ただ、浩二さんは「一二三は力も強いし、柔道やったら世界一になれるで」とささやいた効果だと思っている。一方、詩選手は3歳からピアノを習った。愛さんの「女の子らしいことをしてほしい」との希望からだった。しかし、体を動かすのが大好き。いつのまにか、柔道に熱中していた。

    夏祭りではしゃぐ一二三選手(右上)と詩選手(下)=両親提供

     2人を育てるのに特に気をつけていたのが「技術指導より、あいさつや食事のマナー」。また五輪出場を目指すため、柔道以外でストレスがかからないように気を配った。浩二さんは「勉強をやりなさいと言った記憶がない」と笑う。

     柔道の経験がない浩二さんだったが、消防士としての日ごろの訓練や体育大出身の同僚の話をヒントに独自のトレーニング法も考案した。小学2年の一二三選手を連日、自宅近くの公園に連れ出し、背負い投げをイメージしてチューブを引っ張らせたり、重さ2キロのバスケットボール大の球を投げさせたりした。浩二さんは「疲れるまでやるんじゃなくて、体に覚えさせるようにやった」と言い、一二三選手は「体幹の強さが今に生きている」と感謝する。

     二人三脚の特訓は一つのことをやり続ける根気強さも養わせた。優勝を狙った大会で負けた後は道場まで走ると決めると、一二三選手は遠足の後でも、どんなに疲れていても走った。「アスリートに最も必要な目的意識をきっちり自分の中で持ち続ける気持ちが強かった」と浩二さん。それでも小学時代、一二三選手は全国大会に出場することすらできなかった。詩選手の方が「トレーニングにたまについてきて、横で遊んで、すぐ家に帰っていた」のに、全国大会で3回戦に勝ち上がるなど兄を上回る実績を残した。

     一二三選手の地道な努力が実を結んだのが、中学2年の全国大会。現在60キロ級で昨年の世界選手権代表にもなった1学年上の永山竜樹(りゅうじゅ)選手(東海大)を破り、優勝を果たすと勢いに乗った。講道館杯を男子史上最年少の高校2年で制し、16年リオデジャネイロ五輪の星と一気に注目された。しかし、代表選考の初戦の15年講道館杯で3位に終わり、2次選考のグランドスラム東京大会には出場すらできなかった。この挫折を乗り越えたことがさらなる飛躍のきっかけになった。【松本晃】


    1997年 8月、一二三選手誕生

    2000年 7月、詩選手誕生

      14年 一二三選手が男子最年少の17歳2カ月で講道館杯男子66キロ級優勝

      17年 8月、一二三選手が世界選手権で優勝

         11月、詩選手が一二三選手と同じ17歳で講道館杯女子52キロ級優勝

         12月、国際主要大会のグランドスラム東京でそろって優勝

    2014年の講道館杯で、17歳2カ月で史上最年少優勝を果たした一二三選手(右)=千葉ポートアリーナで、竹内幹撮影

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