決勝　智弁和歌山、大きな収穫穫　情熱アルプス、赤く染め（その２止）　／和歌山

　＜センバツ２０１８＞

新入部員「いずれ自分も」

　智弁和歌山の一塁側アルプススタンドには、３日に入学式を終えたばかりの野球部の新入部員も駆けつけた。先輩たちのプレーを食い入るように見つめ、「いずれ自分も同じ舞台に」と希望に胸を膨らませた。

　新入部員は１２人。遊撃手を志望しているという綾原創太さん（１５）＝和歌山市＝は、幼いころから智弁和歌山のユニホームにあこがれ、何度も甲子園で観戦した。決勝は初めてで、この日は中学時代のクラブチーム「紀州ボーイズ」の後輩たちと声援を送った。

　紀州ボーイズには、主砲の林晃汰選手（３年）や捕手の東妻純平選手（２年）ら智弁和歌山の複数の中心選手もかつて在籍していた。先輩からは「智弁の野球部は有名な分、責任が伴う。礼儀正しく行動すること」と教わったという。

　５日には初練習が予定され、綾原さんは「緊張するけど、こんな強いチームでやれるのはわくわくする。マナーを守り、体力もつけて、自分も甲子園の決勝で活躍したい」と話した。

縁起物で後押し

　○…智弁和歌山の吹奏楽部は、岐阜県飛騨地方に伝わる郷土人形「さるぼぼ」をドラムにつるして応援に臨んだ。サルの赤ん坊をモチーフに、幸せを願う縁起物として地元で親しまれている。通常は赤地で作られることが多いが、吹奏楽部が持っているのは金色。２０１５年の吹奏楽コンクールで、このさるぼぼを部室に飾っていた学校が金賞を受賞し、智弁和歌山吹奏楽部の顧問教諭が託されたという。中田朝陽（あさひ）副部長（２年）は「縁起物にあやかって、ここまで勝ち上がってきた選手の背中を押したい。勝利に導いてほしい」と願い、さるぼぼがつり下げられたドラムを軽快に演奏していた。

歴代ＯＢ駆け付けエール

　○…智弁和歌山の一塁側アルプススタンドでは歴代ＯＢが駆け付け、エールを送った。昨年夏の甲子園２回戦で大阪桐蔭に敗れた加藤諒さん（１８）らは「ここまで来たらすごいとしか言いようがない。最後まで粘り強く戦ってほしい」とグラウンドの選手に熱い視線を送った。準決勝での力投に続き、この日も救援した主戦・平田龍輝投手の兄で、２０１５年夏の甲子園メンバーだった翔真さん（１９）も姿を見せた。「甲子園で決勝の舞台に立てるのはうらやましい。いつも通りそれぞれの役割を果たしてほしい」と弟の雄姿を見守った。

“写真部ナイン”スタンドを奔走

　○…スタンドでエールを送る応援団の様子をカメラに収めようと、智弁和歌山の写真部員も一塁側アルプススタンドを駆け回った。部員は２１人で、毎試合９人で代わる代わる撮影に臨んだ。

　高尾美結さん（２年）は先輩部員が撮影した甲子園の写真に魅了され、「感情が爆発する一瞬を撮りたい」と入部した。池田萌香（ほのか）さん（２年）は「在校生として応援しているし、良い写真を撮りたい。智弁らしい粘り強い野球を貫いてほしい」とファインダーをのぞき込んでいた。撮影した写真は後日、校内の展示スペースで紹介する。